第9帖 葵 / 第2場面
斎宮の御禊と祭の行列
あらすじ・人物・読み方
四月、斎宮の御禊が行われます。その日の行列は世の注目を集め、源氏もとりわけの宣旨で供奉することになりました。
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現代語で読む
そのころ、斎院もお退きになって、皇后のお腹の女三宮がおつきになった。帝も皇后も、特別にお思い申し上げている宮なので、格式が格別におなりになるのを、たいそう心苦しくお思いだったけれど、ほかの宮たちにふさわしい方はいらっしゃらない。儀式などは、常の神事ながら、厳しく喧しく執り行われる。祭の間、定例の公事に加わることが多く、見所は格別である。人柄ゆえと見えた。
御禊の日、上達部などは、数が決まってお仕えする役目ながら、評判が格別で、容貌のよい人は皆、下襲の色、表の袴の紋、馬の鞍まで皆調えている。とりわけの宣旨で、大将の君〔源氏〕もお仕えする。以前から、見物車の手配に心を砕いていた。
一条大路は、場所もないほど、ごった返すまで騒いでいる。あちこちの御桟敷は、それぞれに工夫を尽くした設えで、人の袖口までもが、素晴らしい見物である。
底本:北村季吟編『湖月抄』延宝元年[1673]刊・国立国会図書館蔵 本別3-1 第9冊。本文画像:所蔵機関の公開資料。延宝元年(1673)刊『湖月抄』の大字本文を、国立国会図書館デジタルコレクションの原画像(IIIF)と照合した独自編集本文です。通行字体・現行仮名へ写し、濁点・句読点を補い、反復符を展開しています。発音の読みと独自訳を添え、補った主語などは〔 〕で示します。