第18帖 松風 / 第3場面
惟光の手配
あらすじ・人物・読み方
源氏は惟光を大堰に遣わして邸の用意を整えさせる。大堰の様子が海辺に通じて風情があると聞き、源氏も悪くないと思う。近くに源氏の造る嵯峨野の御堂もあった。
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現代語で読む
惟光朝臣は、例の忍ぶ道では、いつとなく艶めかしくお仕えする人なので、〔大堰へ〕遣わして、ふさわしい様子に、あちこちの用意などをさせなさった。
「辺りは風情があって、海辺に通じた所の様子でございました」
と申し上げるので、「そのような住まいなら、悪くはあるまい」とお思いになる。
お造らせになる御堂は、大覚寺の南に当たって、滝殿の趣などにも劣らず風情のある寺である。
こちら〔大堰の邸〕は、川面に面し、言いようもない松の蔭に、何の飾りもなく建てた寝殿の簡素な様子も、自然と山里の趣を見せていた。内部の設えなどまで〔入道は〕心を配る。
底本:北村季吟編『湖月抄』延宝元年[1673]刊・国立国会図書館蔵 本別3-1 第18冊。本文画像:所蔵機関の公開資料。延宝元年(1673)刊『湖月抄』の大字本文を、国立国会図書館デジタルコレクションの原画像(IIIF)と照合した独自編集本文です。通行字体・現行仮名へ写し、濁点・句読点を補い、反復符を展開しています。発音の読みと独自訳を添え、補った主語などは〔 〕で示します。