ATAWI 古典文学JAPANESE CLASSICS, AT YOUR PACE

第18帖 松風 / 第5場面

舟出

あらすじ・人物・読み方

明石に残る尼君と舟中の明石の君は歌を交わして別れを惜しむ。一行は順風に恵まれ、約束の日に違わず大堰へ入り着く。

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現代語で読む

あの岸に心を寄せていた海人の舟が、背を向けた方へ漕ぎ帰っていくことよ。

御方〔明石の君〕は、

幾度行き交う秋を過ごしながら、浮木に乗って私は帰っていくのでしょう。

思う方の風に恵まれて、約束した日に違わずお入りになった。人に見咎められまいという心もあるので、道中も軽々しい装いであった。

底本:北村季吟編『湖月抄』延宝元年[1673]刊・国立国会図書館蔵 本別3-1 第18冊。本文画像:所蔵機関の公開資料。延宝元年(1673)刊『湖月抄』の大字本文を、国立国会図書館デジタルコレクションの原画像(IIIF)と照合した独自編集本文です。通行字体・現行仮名へ写し、濁点・句読点を補い、反復符を展開しています。発音の読みと独自訳を添え、補った主語などは〔 〕で示します。