第23帖 初音 / 第2場面
子の日の夕べ、御方々の参座と紫の上の歌
あらすじ・人物・読み方
朝のうちは人々が参り込んで騒がしかったが、夕方、装いを整えた御方々が参座し、紫の上は今朝の女房たちの戯れを羨んだと言って祝いの歌を詠む。源氏が返歌を詠み交わし、二人は末遠い契りを確かめ合う。その日は千年の春を祝うにふさわしい子の日だった。
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現代語で読む
朝のうちは人々が参り込んで、騒がしかったが、夕方に、御方々が参座なさろうということで、〔紫の上は〕特に心を込めて身づくろいし、化粧なさるお姿こそ、本当に見る甲斐があるようだ。
「今朝、この人々が戯れ交わしていたのが、とても羨ましく見えたので、上〔源氏〕には私が見せて差し上げましょう」
と言って、乱れた〔他愛ない〕事どもを少し交えながら、〔紫の上は源氏に〕祝い申し上げなさる。
薄氷の解けた池の鏡のような水面には、世に曇りのないお二人の姿が並んで映っていることよ。
本当に、めでたいお二人の間柄であることよ。
曇りのない池の鏡のような水面に、万代までも清く澄むべきお二人の姿が、はっきりと映って見えたことよ。
何事につけても、末遠いご縁を、〔二人は〕理想的だと思って言い交わしなさる。今日は子の日であった。本当に、千年の春を期して祝おうとするのに、ふさわしい日である。
底本:北村季吟編『湖月抄』延宝元年[1673]刊・国立国会図書館蔵 本別3-1 第23冊。本文画像:所蔵機関の公開資料。延宝元年(1673)刊『湖月抄』の大字本文を、国立国会図書館デジタルコレクションの原画像(IIIF)と照合した独自編集本文です。通行字体・現行仮名へ写し、濁点・句読点を補い、反復符を展開しています。発音の読みと独自訳を添え、補った主語などは〔 〕で示します。