第23帖 初音 / 第7場面
曙に南の御殿へ渡り、紫の上の仮寝
あらすじ・人物・読み方
曙に源氏は南の御殿へ渡る。待ち受けていた紫の上は源氏の内心を量り、仮寝をして応じない。その様子をおかしく眺めながら、源氏は日高くなってから起きる。
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現代語で読む
南の御殿〔紫の上〕には、まして〔源氏の振る舞いを〕目に余るとする人々がいる。まだ曙の頃に〔源氏は南の御殿へ〕お渡りになった。こうしてはならないほどの夜更けだなと思うにつけ、〔明石の御方への〕名残も並々でなく、しみじみと思う。
〔源氏を〕待ち受けていらっしゃる方〔紫の上〕も、〔源氏を〕疎かにしているとお思いだろうお心の内を、推し量られなさって、
「妙なうたた寝をして、若々しかった居眠りの様子を、それほど驚かしなさらないで〔ください〕」
と、〔源氏が紫の上の〕ご機嫌を取りなさるのもおかしく見える。これといったお返事もないので、〔紫の上は〕面倒に思って、空寝をしながら、日が高くなってから御殿に籠もったままお起きになった。
底本:北村季吟編『湖月抄』延宝元年[1673]刊・国立国会図書館蔵 本別3-1 第23冊。本文画像:所蔵機関の公開資料。延宝元年(1673)刊『湖月抄』の大字本文を、国立国会図書館デジタルコレクションの原画像(IIIF)と照合した独自編集本文です。通行字体・現行仮名へ写し、濁点・句読点を補い、反復符を展開しています。発音の読みと独自訳を添え、補った主語などは〔 〕で示します。