第24帖 胡蝶 / 第8場面
紫の上への評判
あらすじ・人物・読み方
源氏は玉鬘をますます可愛いと思い、紫の上にもその人柄を語って褒める。紫の上が源氏の昔の心の様子をほほ笑んで指摘すると、源氏は面倒に思って言葉を途切らせ、心の中で人の推し量りや自分の心のほどを思い知る。
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現代語で読む
殿〔源氏〕は、〔玉鬘を〕ますます可愛いと思い申し上げなさる。上〔紫の上〕にもお語り申し上げなさる。「不思議と懐かしい人の有様でもあることよ。あの昔の人〔夕顔〕は、あまり晴れやかで見どころがなくていらした。この君〔玉鬘〕は、物事の様子も理解しているようで、親しみやすい気立てが添わって、心配なところなく見えます」
などと、〔源氏は玉鬘を〕お褒めになる。〔紫の上は、源氏が〕ただ事では済まさないようなお心の様子をお見知りなので、お思い寄りになって、「〔玉鬘は〕物事を心得ていらっしゃるようなのに、心から打ち解けて、〔あなたを〕頼り申し上げていらっしゃるだろうことが、心苦しいことです」とおっしゃると、
「どうして、頼りなさそうなことがありましょうか」と〔源氏が〕申し上げなさると、
「いえ、わたくしでも、また堪えがたいほど物思いに沈んだ折々があった〔あなたの〕お心の様子が、思い出される節々がなくてでしょうか」と、ほほ笑んで申し上げなさると、「ああ、〔何と〕お察しがよいこと」と〔源氏は〕お思いになって、「困ったことに、お思い寄りになることよ。たいそうお見知りでないわけでもないでしょうに」と〔言って〕、面倒なので、〔源氏は〕おっしゃりかけてやめ、心のうちに、「人がこのように推し量りなさるのにも、どうなることだろう」とお思い乱れ、一方では、ひねくれていてふさわしくない自分の心のほども、思い知らされなさった。
〔玉鬘のことが〕心にかかっているままに、〔源氏は〕しばしば〔玉鬘のもとへ〕お渡りになりながらご覧になる。
底本:北村季吟編『湖月抄』延宝元年[1673]刊・国立国会図書館蔵 本別3-1 第24冊。本文画像:所蔵機関の公開資料。延宝元年(1673)刊『湖月抄』の大字本文を、国立国会図書館デジタルコレクションの原画像(IIIF)と照合した独自編集本文です。通行字体・現行仮名へ写し、濁点・句読点を補い、反復符を展開しています。発音の読みと独自訳を添え、補った主語などは〔 〕で示します。