ATAWI 古典文学JAPANESE CLASSICS, AT YOUR PACE

第24帖 胡蝶 / 第7場面

呉竹の歌

あらすじ・人物・読み方

源氏は御前近くの呉竹の若やかな姿に立ち止まり、竹の子に玉鬘を重ねて歌を贈る。玉鬘は若竹に寄せて返歌し、源氏のありがたい心遣いに感謝しつつも、実の親でないことが知られるのを恐れて慎ましく思う。

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現代語で読む

御前近くの呉竹が、たいそう若やかに生い立って、〔風に〕なびく様子が慕わしいので、〔源氏は〕立ち止まりなさって、垣根の内に根深く植えた竹の子が、それぞれの代々に生い分かれて伸びていくことでしょうか。〔あなたの境遇を〕思えば恨めしいに違いないことですよ」

と、〔源氏が〕御簾を引き上げて申し上げなさると、〔玉鬘は〕いざり出て、今さら、どのような世になるのでしょうか。若竹〔私〕が生い始めた根もと〔自分の生まれ〕を、尋ねて知りたいものです。〔知れば〕かえって〔思い悩むことに〕なりそうです」

と〔玉鬘が〕申し上げるのを、〔源氏は〕たいそうしみじみとお思いになった。実は、〔玉鬘は〕心のうちではそうは思っていなかった。どんな折に〔出生のことを〕申し出ようとするのだろうと、心もとなくしみじみと思うけれど、この大臣〔源氏〕のお心遣いがたいそうありがたいので、「〔実の〕親と申し上げても、もともと見慣れなさっていないのでは、こんなにまで細やかには〔お心が〕通わないのではないか」と、昔物語をご覧になるにつけても、次第に人々の有様や世の中のあり方をお知りになるので、たいそう慎ましく、〔源氏の〕お心だと知られ申し上げるのは難しいだろうと、お思いになる。

底本:北村季吟編『湖月抄』延宝元年[1673]刊・国立国会図書館蔵 本別3-1 第24冊。本文画像:所蔵機関の公開資料。延宝元年(1673)刊『湖月抄』の大字本文を、国立国会図書館デジタルコレクションの原画像(IIIF)と照合した独自編集本文です。通行字体・現行仮名へ写し、濁点・句読点を補い、反復符を展開しています。発音の読みと独自訳を添え、補った主語などは〔 〕で示します。