第41帖 幻 / 第17場面
年の暮れ、最後の歌
あらすじ・人物・読み方
年老いた導師は源氏の容貌に涙し、源氏は年の暮れに若宮の無邪気な姿を忍びがたく思う。最後の歌を詠み、元日への用意を静かに定めて帖を閉じる。
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現代語で読む
その日に、〔導師は〕退出なさった。〔源氏の〕ご容貌が、昔のご威光にもまた多く加わって、得難く立派にお見えになるのを、この年老いた僧は、わけもなく涙も止められなかった。
年が暮れたとお思いになるのも心細いところに、若宮〔三の宮〕が、「追儺をしようというのに、声を高くすべきことは、どんな芸をさせようか」と、走り回っていらっしゃるのも、「〔出家すれば〕可愛らしいご様子を見られなくなること」と、万事につけて忍びがたい。物思いをして過ごす月日も知らないうちに、年も私の世も今日で尽きてしまうのだろうか。元日の頃のことを、「常より格別に」と、〔源氏は〕定めさせなさる。親王方や大臣への引出物、品々の禄など、〔源氏は〕何となくお心に用意なさる、ということである。
底本:北村季吟編『湖月抄』延宝元年[1673]刊・国立国会図書館蔵 本別3-1 第41冊。本文画像:所蔵機関の公開資料。延宝元年(1673)刊『湖月抄』の大字本文を、国立国会図書館デジタルコレクションの原画像(IIIF)と照合した独自編集本文です。通行字体・現行仮名へ写し、濁点・句読点を補い、反復符を展開しています。発音の読みと独自訳を添え、補った主語などは〔 〕で示します。