第41帖 幻 / 第4場面
后の宮と形見の紅梅
あらすじ・人物・読み方
后の宮は内裏に参り、三の宮を源氏の慰めとして残した。源氏は紫の上の形見である対の紅梅をとくに大切に世話する若宮の姿を愛しく眺める。如月、紅梅に鴬が鳴くのを見て、亡き人を偲ぶ歌を口ずさむ。
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現代語で読む
后の宮は内裏に参上なさって、三の宮を〔源氏の〕物足りない慰めとしてお残しになっていた。
「乳母がおっしゃったので」と言って、対の御前の紅梅をとくに大切にお世話して回りなさる〔三の宮の〕姿を、〔源氏は〕たいそう愛しくご覧になる。
二月になると、花の木々の盛りのものもまだのものも、梢が趣深く一面に霞んでいるところに、あの形見の紅梅に鴬が華やかに鳴き出したので、〔源氏は〕立ち出てご覧になる。植えて眺めた花の主もいない宿に、何も知らない顔をしてやって来る鴬よ。と、〔歌を〕口ずさみながら歩き回りなさる。
底本:北村季吟編『湖月抄』延宝元年[1673]刊・国立国会図書館蔵 本別3-1 第41冊。本文画像:所蔵機関の公開資料。延宝元年(1673)刊『湖月抄』の大字本文を、国立国会図書館デジタルコレクションの原画像(IIIF)と照合した独自編集本文です。通行字体・現行仮名へ写し、濁点・句読点を補い、反復符を展開しています。発音の読みと独自訳を添え、補った主語などは〔 〕で示します。