第43帖 紅梅 / 第2場面
七間の寝殿と宮仕えの沙汰
あらすじ・人物・読み方
姫君たちは同じくらいの年頃に大人になり、裳着を済ませ、七間の寝殿の南面に大君、西に中の君、東に宮の御方と住み分けている。宮の御方は父宮がいないのが心苦しいものの、宝物も多く儀式も気高く整えられて立派に暮らしている。やがて大君には内裏と東宮の双方からお気持ちが寄せられ、大納言は競い合いの難しさを考えながらも、娘を宮仕えに出さないのでは本意がないと決意し、十七、八歳の美しい大君を東宮へ参らせる。
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現代語で読む
姫君たちは同じくらいの年頃に次々と大人になられたので、〔親たちは〕裳などをお着せになる。七間の寝殿を広く大きく造り、南面に大納言殿と大君、西に中の君、東に宮の御方を住まわせなさった。
大方考えてみると、父宮がおられないのが心苦しいようであるが、あちらこちらの宝物も多く、内々の儀式の様子なども奥ゆかしく気高く取り行って、様子も立派でおられる。
例によって、このように大切に育てられる評判があり、次々と従ってお仕えする人も多く、「内裏からも東宮からもお気持ちがあるが、内裏には中宮がおられる。どんな人でも、あのご様子に並ぶことができようか。そうかといって、劣ると卑下するのも甲斐がないだろう。東宮には、右大臣殿の女御が並ぶ人もない様子でお仕えになっているのは競い合いにくいが、そうばかり言っていられようか。人に勝ろうと思う娘を宮仕えに出さないのでは、何の本意があろう」と思い立って、〔大君を〕参らせなさる。〔大君は〕十七、八歳ほどで、美しく、匂うばかりに豊かな容貌をしておられた。
底本:北村季吟編『湖月抄』延宝元年[1673]刊・国立国会図書館蔵 本別3-1 第43冊。本文画像:所蔵機関の公開資料。延宝元年(1673)刊『湖月抄』の大字本文を、国立国会図書館デジタルコレクションの原画像(IIIF)と照合した独自編集本文です。通行字体・現行仮名へ写し、濁点・句読点を補い、反復符を展開しています。発音の読みと独自訳を添え、補った主語などは〔 〕で示します。