第44帖 竹河 / 第23場面
東隣の大饗
あらすじ・人物・読み方
東隣の右大臣の大饗に人々が集う。兵部卿宮は姫君たちに心を留めない。
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現代語で読む
大臣の殿〔右大臣の邸〕は、ちょうどこの殿〔玉鬘邸〕の東であった。大饗の垣下の君達などが、大勢お集まりになる。兵部卿宮〔匂宮〕が、左の大臣殿の賭弓の還立や、相撲の饗応などにはいらしたことを思いやって、今日の光〔主賓〕としてお招き申し上げなさったけれど、いらっしゃらなかった。
奥ゆかしく大切に育てていらっしゃる姫君たちを、実は、心積もりは格別で、どうにか〔宮に嫁がせたい〕と、思い申し上げていらっしゃるようだけれど、宮〔匂宮〕は、どういうわけか、御心をお留めにならなかった。源中納言〔薫〕が、ますます理想的に成長が整い、何事も劣る方面なくていらっしゃるのを、大臣〔右大臣〕も北の方も、目に留めていらした。
隣がこのように騒いで、行き違う車の音や、先駆を追う声々も、昔のことが思い出されて、この殿〔玉鬘邸〕では、しみじみと眺めていらっしゃる。
「故宮〔蛍兵部卿宮〕がお亡くなりになって、ほどもなく、この大臣〔右大臣〕が通いなさった頃を、たいそう軽はずみなように、世の人は非難したけれど、こうして落ち着いていらっしゃるのも、さすがの方面で感じがよかった。定めのない世の中だこと。どちらに頼ったらよいのか」などと〔玉鬘は〕おっしゃる。
底本:北村季吟編『湖月抄』延宝元年[1673]刊・国立国会図書館蔵 本別3-1 第44冊。本文画像:所蔵機関の公開資料。延宝元年(1673)刊『湖月抄』の大字本文を原画像とOCRで照合した独自編集本文です。通行字体・現行仮名へ写し、濁点・句読点を補い、反復符を展開しています。発音の読みと独自訳を添え、補った主語などは〔 〕で示します。