第44帖 竹河 / 第24場面
宰相中将の訪問
あらすじ・人物・読み方
大饗の翌日、宰相中将となった蔵人少将が三条の宮を訪れ、涙ながらに昔と今を語る。
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現代語で読む
左の大殿〔夕霧〕の宰相中将〔蔵人少将〕が、大饗の翌日、夕方になってここへ参られた。御息所〔大君〕が里にいらっしゃると思うと、ますます心遣いが加わって、
「朝廷に人数に加えていただく喜びなどは、何とも思われません。私の思うことが叶わない嘆きだけが、年月に加わって、思い晴らす方途がないことです」
と、涙を押し拭うのも、わざとらしく見える。二十七、八歳ほどの、たいそう盛りに匂って、華やかな容貌をしていらした。
「見苦しい君たち〔息子たち〕が、世の中を心のままに驕って、官位を何とも思わず、過ごしていらっしゃることよ。故殿〔鬚黒〕がいらっしゃったら、ここにいる人々も、このような遊びごとに、心を乱したでしょうに」
と〔玉鬘は〕泣きなさる。〔息子たちは〕右兵衛督、右大弁で、皆が非参議であるのを、情けなく思っていた。侍従と聞こえていた〔三男〕は、この頃、頭中将と聞こえている。年齢のほどは、劣ってはいないけれど、人に後れると嘆いていらした。宰相は、あれやこれやと似つかわしい〔様子である〕。
底本:北村季吟編『湖月抄』延宝元年[1673]刊・国立国会図書館蔵 本別3-1 第44冊。本文画像:所蔵機関の公開資料。延宝元年(1673)刊『湖月抄』の大字本文を原画像とOCRで照合した独自編集本文です。通行字体・現行仮名へ写し、濁点・句読点を補い、反復符を展開しています。発音の読みと独自訳を添え、補った主語などは〔 〕で示します。