ATAWI 古典文学JAPANESE CLASSICS, AT YOUR PACE

第49帖 宿木 / 第4場面

新年の宮中

あらすじ・人物・読み方

年が改まり、帝は女一の宮・女二の宮をめぐる思いを新たにする。匂宮と六の君の婚儀の準備が進み始める。

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現代語で読む

女二の宮〔薫の妻〕も、喪服が明けたので、「ますます何事にお憚りになることがあろうか。そのように〔帝が女一の宮のことを〕申し出られたら」と〔帝が〕お思いになったご様子など、告げ申し上げる人々もあるのを、〔薫は〕「あまり知らぬ顔でいるのも、ひねくれて軽んじているようだ」と思い起こして、〔女二の宮に帝の意向を〕ほのめかし申し上げなさる折々もあるが、「体裁の悪い様子は、どうしてあろうか。その頃に〔帝が〕お思い定めになったのだ」と人伝てにも聞き、ご自身でも〔帝の〕ご様子を見ても、心の内には、なお飽き足らずにお亡くなりになった人〔大君〕の悲しさだけが、忘れるはずもなく思われるので、「情けないことに、このように深く契っていらっしゃった人が、どうして、そうはいっても疎遠なままに過ぎてしまったのだろう」と合点がいかず思い出される。

「〔大君より〕身分が劣るとしても、あのお方のご様子に少しでも似ている人は、心も留まるだろう。昔あったという香の煙につけてでも、今一度お目にかかれるものであってほしい」とだけ思って、高貴な方〔女一の宮〕の方へ、いつしかと急ぐ心もない。

底本:北村季吟編『湖月抄』延宝元年[1673]刊・国立国会図書館蔵 本別3-1 第49冊。本文画像:所蔵機関の公開資料。延宝元年(1673)刊『湖月抄』の大字本文を、国立国会図書館デジタルコレクションの原画像(IIIF)と照合した独自編集本文です。通行字体・現行仮名へ写し、濁点・句読点を補い、反復符を展開しています。発音の読みと独自訳を添え、補った主語などは〔 〕で示します。