狂言「附子」 / 第5場面
白状と追い込み
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あらすじ・人物・読み方
太郎冠者は、眠気覚ましに相撲を取って掛物を破り、臺天目を割り、死のうとして附子を食べたと言い訳する。二人が口々に「何口食べても死なれない」と唱えると、主は怒って二人を追い回す。
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太郎冠者「大事のお留守で、眠るまいと思い、次郎冠者と相撲を取っておりましたところ、次郎冠者は手取りで(上手で)、私の小股を取って転ばそうとしたのを、倒れまいと思って、あのお掛物に取り付きましたので、あのように破れました。と言って泣く。
主「これはどうしたことだ。秘蔵の掛物を破ってしまった。次郎冠者「返しざまに臺天目の上へ放り投げられまして、あのように粉々になりました。と言って泣く。
主「これはどうしたことだ。臺天目まで打ち割ってしまった。お前たちを生かしておくことはできないぞ。太郎冠者「数々のお道具を損ないました。とても生かしては置かれまい、附子を食べて死のうと思って皆食べましたがねえ、次郎冠者。次郎冠者「おお。二人「まだ死にません。と言って泣く。
主「これはどうしたことだ。附子まで食べてしまった。お前たちは今にも死ぬぞ。太郎冠者「一口食べても死なれもせず。次郎冠者「二口食べてもまだ死なず。太郎冠者「三口、四口。次郎冠者「五口、六口。
二人「十口あまり、皆になるまで食べたけれど、死なれない命が出たことよ。なんとまあ、死にきれない命だこと。主「さても腹の立つことだな。と言って。主「がっき(餓鬼)め。
と言って二人を叩き、次郎冠者を先に追い込み、続いて太郎冠者を追い込む。棒縛りの類に同じ。
底本:『和泉流狂言大成 第4巻』山脇和泉著、わんや江島伊兵衛、大正8年[1919](国立国会図書館蔵 6-364)所収「附子」。本文画像:所蔵機関の公開資料。
大正8年(1919)山脇和泉著『和泉流狂言大成 第4巻』(わんや江島伊兵衛、国立国会図書館蔵 6-364)所収「附子」(和泉流)の本文を、国立国会図書館デジタルコレクションの原画像と照合した独自編集本文です。底本の字句を残して通行字体に写し、句読点を補っています。発音の読みと独自訳を添えています。