狂言「附子」 / 第4場面
言い訳を仕込む
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あらすじ・人物・読み方
太郎冠者は掛物に続いて臺天目茶碗も割らせ、主が帰ったら泣いていよと段取りを決める。やがて主が帰宅し、二人は申し合わせたとおり泣き出す。
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次郎冠者「いやいや、お前は聞こえぬことを言うものだ。あれを破れば言い訳になると言ったから破ったのだ。わしは知らぬ、お帰りになったらまっすぐに申し上げるぞ。
太郎冠者「ああ、こりゃ。これも冗談だ。次郎冠者「さてさて、冗談の尽きない人だ。では言い訳はどうする。太郎冠者「あの臺天目を打ち割れ。次郎冠者「あれもわしに割らせて、あとで迷惑をかけるつもりだな。
太郎冠者「いや、このたびはわしも手伝う。次郎冠者「お前も手伝うか。太郎冠者「なかなか(もちろん)。次郎冠者「それならば割ろう。さあ、来い。
太郎冠者「心得た。次郎冠者「持て。太郎冠者「合点だ。次郎冠者「よいか。太郎冠者「よいぞ。次郎冠者「ぐわらりり(割れる音)。太郎冠者「ちん(破片の音)。
次郎冠者「数が増えた(粉々になった)。太郎冠者「みじんになった。次郎冠者「では言い訳はどうする。太郎冠者「お帰りになったら泣いていよ。次郎冠者「泣いていれば言い訳になるか。太郎冠者「そのあとはわしに任せておけ。次郎冠者「心得た。
主「ただいま帰った。早くも二人の者が待ちかねているだろう。やい、戻ったぞ。と言って二人とも泣く。主は不審がる。二人「そら、お帰りになった。泣け。
主「これはどうしたことだ。二人とも急に泣き出す様子とは、何事だ。太郎冠者「次郎冠者、申し上げい。次郎冠者「太郎冠者、申し上げい。主「心もとない。何事だ。
底本:『和泉流狂言大成 第4巻』山脇和泉著、わんや江島伊兵衛、大正8年[1919](国立国会図書館蔵 6-364)所収「附子」。本文画像:所蔵機関の公開資料。
大正8年(1919)山脇和泉著『和泉流狂言大成 第4巻』(わんや江島伊兵衛、国立国会図書館蔵 6-364)所収「附子」(和泉流)の本文を、国立国会図書館デジタルコレクションの原画像と照合した独自編集本文です。底本の字句を残して通行字体に写し、句読点を補っています。発音の読みと独自訳を添えています。