ATAWI 古典文学JAPANESE CLASSICS, AT YOUR PACE

第2帖 帚木 / 第18場面

晴れ間に、左大臣邸へ

あらすじ・人物・読み方

雨がようやく上がり、源氏は左大臣邸へ退出します。整った住まいと妻の立派さを感じながらも、その厳しさに打ち解けかねています。

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ようやく、今日は空模様もよくなった。こうして、いつまでも宮中に籠もっていらっしゃるのも、左大臣のお気持ちにすまないので、退出なさった。

全体の様子や、人々の気配も、はっきりと際立って気高く、取り乱したところがない。やはり、これこそ、あの人々が、捨てがたい長所として挙げていた、実直な人としては、頼りにできるのだろう、と思うものの、あまりにきちんとしたお姿には、打ち解けにくく、こちらが気後れするほど、落ち着いていらっしゃるので、

物足りなくて、中納言の君や、中務といった、ありきたりではない若い女房たちに、冗談などをおっしゃりながら、暑さで、身なりをくつろげていらっしゃるお姿を、女房たちは、拝見するかいがある、とお思い申し上げた。

左大臣もいらして、源氏がくつろいでおられるので、几帳を隔ててお座りになり、お話し申し上げなさると、源氏が、暑いのに、と困った顔をなさるので、人々は笑う。「静かに」とおっしゃって、脇息に寄りかかっていらっしゃる。たいそうゆったりしたお振る舞いである。

底本:北村季吟『湖月抄』延宝元年刊・国立国会図書館所蔵 本別3-1 [2]。本文画像:所蔵機関の公開資料。延宝元年(1673)刊『湖月抄』の大字本文を原画像とOCRで照合した独自編集本文です。通行字体・現行仮名へ写し、濁点・句読点を補い、反復符を展開しています。発音の読みと独自訳を添え、補った主語などは〔 〕で示します。