第2帖 帚木 / 第20場面
中川の家の夕涼み
あらすじ・人物・読み方
源氏は近しい供人だけを連れて中川の家へ向かいます。水や植栽を整えた庭に蛍が飛び、人々は泉の辺りで酒を飲みます。
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現代語で読む
「ごく内密に。特別に、仰々しく支度をしていない所を」とおっしゃって、急いでお出になるので、左大臣にも、お申し上げにならず、お供にも、親しい者ばかりを連れて、いらっしゃった。
紀伊守は、急なことだ、と困るが、誰も聞き入れない。寝殿の東側を、片づけさせて、ひとまずの、お泊まりの支度をした。水の趣向などは、それなりに風情があるように、整えてある。田舎の家らしい、柴垣をめぐらし、庭の植え込みなども、心を込めて植えてある。
風は涼しく、どこからともなく虫の声が聞こえ、蛍がたくさん飛び交い、趣のあるころである。人々は、渡殿の方から流れ出る泉に面して座り、酒を飲む。主人も、酒の肴を調達しようと、こまごまと、忙しく動き回っている間、
源氏の君は、ゆったりと物思いにふけりながら、あの、中ほどの家柄として取り上げて語っていたのは、このくらいの家なのだろう、と思い出される。気位の高い様子だと、お聞き及びの娘なので、様子を知りたくて、お耳を留めていらっしゃると、こちらの西側に、人の気配がする。
底本:北村季吟『湖月抄』延宝元年刊・国立国会図書館所蔵 本別3-1 [2]。本文画像:所蔵機関の公開資料。延宝元年(1673)刊『湖月抄』の大字本文を原画像とOCRで照合した独自編集本文です。通行字体・現行仮名へ写し、濁点・句読点を補い、反復符を展開しています。発音の読みと独自訳を添え、補った主語などは〔 〕で示します。