ATAWI 古典文学JAPANESE CLASSICS, AT YOUR PACE

第2帖 帚木 / 第27場面

少年に託した文と、姉のためらい

あらすじ・人物・読み方

源氏は少年に親しく語りかけ、姉への文を託します。姉は少年にまで事情を知られたことをつらく思い、返事を渡せずにいます。

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細かく見れば、際立って美しいというほどではないが、優美な様子で、身分ある人と見えた。お呼び入れになって、たいそう親しく、お話しになる。子ども心に、たいそうすばらしく、うれしいと思う。

姉君のことも、詳しく、お尋ねになる。答えるべきことは、お答え申し上げるなどして、気後れするほど落ち着いているので、言い出しにくい。それでも、たいそうよく、言い聞かせなさる。

こういうことなのか、と、うすうす察するのも、思いがけないことだったが、子ども心に、深く考えもしないで、お手紙を、持って来たので、女は、驚きあきれるあまり、涙も出てきた。この子が、何と思っているだろうということも、きまり悪く、それでも、お手紙を、顔を隠すように広げた。たいそう、たくさん書いてあって、

あの、夢のように逢った夜に、また逢う夜があるだろうかと、嘆いているうちに、眠ることさえできないまま、幾日もたってしまいました。

「眠る夜もないので」などと、目にも捉えきれないほどの、お筆づかいも、目もくらみ、不可解な宿命まで加わった我が身を、思い続けて、横になっていらっしゃる。

翌日、源氏の君が、お呼びになったので、参上しようとして、お返事を求める。「こんなお手紙を、読むはずの人もいない、と申し上げなさい」と、おっしゃるので、にっこりして、「人違いのようには、おっしゃらなかったのに、どうして、そのように、申し上げられましょう」と言うので、

腹立たしく、何もかも、話してしまわれたのだ、と思うと、つらいこと、この上ない。「さあ、大人びたことは、言わないがよい。もう、それなら、参上なさらないで」と、機嫌を悪くされて、「お呼びになるのに、どうして参らずにいられましょう」と言って、参上した。

紀伊守は、好色心から、この継母のありさまを、惜しいものと思って、取り入って近づこうとする心なので、この子を、大切にして、連れ歩いている。

底本:北村季吟『湖月抄』延宝元年刊・国立国会図書館所蔵 本別3-1 [2]。本文画像:所蔵機関の公開資料。延宝元年(1673)刊『湖月抄』の大字本文を原画像とOCRで照合した独自編集本文です。通行字体・現行仮名へ写し、濁点・句読点を補い、反復符を展開しています。発音の読みと独自訳を添え、補った主語などは〔 〕で示します。