第2帖 帚木 / 第5場面
上中下という品分け
あらすじ・人物・読み方
中将が女性の育ちを上中下に分けると、源氏はその基準を問い返します。そこへ左馬頭と藤式部丞が加わります。
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現代語で読む
身分高く生まれた人なら、周りから大切に育てられ、周りが気を配って、欠点が出ないようにすることも多く、自然と、その雰囲気も格別になるでしょう。中くらいの身分にこそ、人それぞれの気立てや、自分で育んだ持ち味が見えて、いろいろと見分けられる点が、多いはずです。下の部類というほどになれば、ことさら耳を留めることもありません」と言っている。
ずいぶん何でも分かったような様子なのにも、源氏は興味を引かれて、「その身分分けとは、どんなものなのか。何を基準にして、三つの部類に分けるのだろう。もとは高い身分に生まれながら、身の上が落ちぶれ、位も低く、ぱっとしない人、また、身分の低い者が上達部にまで出世し、得意顔で、家の中を飾り立て、人に負けまいと思っている人、その違いを、どのように分けるべきなのか」と、お尋ねになっているところへ、
左馬頭と、藤式部丞が、物忌に参籠しようとして、参上した。世間の恋に通じた者で、話もよくできるので、中将は、来たところをつかまえ、その身分の分け方を論じ合い、争う。〔そこで言うことには〕ひどく聞き苦しいことが多かった。
「出世したとはいえ、もともとそれにふさわしい家柄ではない人は、世間がその人をどう見るかも、やはり別のものです。また、もとは高貴な家柄でも、暮らしを立てる手だてが乏しく、時勢が変わり、世間の評判や勢いが衰えてしまうと、心構えは、心構えとしても、物事が足りず、みすぼらしいことが出てくるもののようですから、それぞれに事情を見分けて、中の部類に置くべきです。
受領といって、地方の政治に関わり、暮らしを営み、身分が定まっている人々の中にも、さらに段階があり、中くらいの身分で、悪くない人を選び出せる程度の層です。中途半端な上達部より、参議にはなっていない四位の官人で、世間からも相応の評価があり、もとの家柄も低くない人が、ゆったりと身を処して暮らしているのは、たいそう、のびのびとしているものです。
家の中に不足するものもなさそうなので、何一つ惜しまず、目を見張るほど大切に育てた娘などが、軽くは扱えないほど立派に成長することも、数多くあるでしょう。宮仕えに出てから、思いがけない幸運をつかむ例も、多いものです」などと言うと、
「要するに、財力のある所を頼りにすればよい、ということらしいね」と言って、源氏がお笑いになるので、「ほかの人が言うように、こちらの話を取り違えておっしゃる」と言って、中将は、憎まれ口をたたいた。
底本:北村季吟『湖月抄』延宝元年刊・国立国会図書館所蔵 本別3-1 [2]。本文画像:所蔵機関の公開資料。延宝元年(1673)刊『湖月抄』の大字本文を原画像とOCRで照合した独自編集本文です。通行字体・現行仮名へ写し、濁点・句読点を補い、反復符を展開しています。発音の読みと独自訳を添え、補った主語などは〔 〕で示します。