ATAWI 古典文学JAPANESE CLASSICS, AT YOUR PACE

第2帖 帚木 / 第7場面

生涯を託せる人を選ぶ難しさ

あらすじ・人物・読み方

広く人を品定めする話から、実際に家庭をともにする相手の話へ進みます。取りえがあっても一緒に暮らす時の不足は別だと、語り手たちは考え続けます。

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さまざまな人について、互いに話を出し合った。「普通の世間付き合いで見る分には、欠点がなくても、自分の伴侶として頼みにできる相手を選ぶとなると、多くの中からでも、選び定めることはできそうにありません。男性が朝廷にお仕えして、しっかりと国の支えになれるような人についても、本当にその役を果たす人物を取り立てようとすると、見つけるのは難しいでしょう。

けれども、優れているといっても、一人や二人で世の中を治められるものではないので、上の者は下の者に助けられ、下の者は上の者に従い、することが幅広いので、仕事を分け合うのでしょう。狭い家の中の主となる人を、ただ一人、思い巡らせると、欠けていては困る大切なことが、あれこれと多いのです。

あちらを立てればこちらが立たず、いろいろと差し障りがあり、まずは、この人でよいだろうと思える人が少ないので、浮気心で多くの女性を比べたいという好みではなくても、ひたすら心を定めて頼る相手にしたい、それだけに、同じことなら、自分が苦労して、直したり繕ったりすべき所がなく、心にかなうこともあるか、と選び始めた人は、なかなか相手を定められないのでしょう。

必ずしも自分の望みに合わなくても、初めに結んだ縁だけを、捨てられないと思って踏みとどまる人は、実直だと見えますし、そうして関係を保たれる女性の方も、何か奥ゆかしいところがあるのだろうと、推し量られるのです。

けれども、いやもう、世間のありさまをあれこれ見ていくうちに、思い描いたほどではなく、ぜひ知りたいと思うこともないのです。あなた方の、この上ないお相手を選ぶとなると、なおさら、どれほどの人がお似合いになるのでしょうか。

底本:北村季吟『湖月抄』延宝元年刊・国立国会図書館所蔵 本別3-1 [2]。本文画像:所蔵機関の公開資料。延宝元年(1673)刊『湖月抄』の大字本文を原画像とOCRで照合した独自編集本文です。通行字体・現行仮名へ写し、濁点・句読点を補い、反復符を展開しています。発音の読みと独自訳を添え、補った主語などは〔 〕で示します。