ATAWI 古典文学JAPANESE CLASSICS, AT YOUR PACE

第6帖 末摘花 / 第5場面

二人そろって大殿へ

あらすじ・人物・読み方

源氏と頭中将はそれぞれの約束の先へ向かわず、同じ車で大殿へ帰ります。身なりを改め、笛を吹くと、左大臣も演奏に加わります。

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それぞれ約束した相手にも、甘えるつもりで、別々にはお出かけになれない。同じ車に乗って、月の趣深いころ、月が雲に隠れる道中、少し〔笛を〕吹き合わせて、大殿へ、いらっしゃった。

先払いなどもおさせにならず、そっと入って、人の見ていない廊で、直衣をお取り寄せになり、着替えなさる。何食わぬ顔で、今来たように、笛などを気ままに吹いていらっしゃると、大臣は、いつものように、聞き流しなさらず、高麗笛を、取り出しなさった。とてもお上手でいらっしゃるので、たいそうみごとに、お吹きになる。

琴をお取り寄せになり、内側でも、この方面に心得のある人々に、お弾かせになる。

中務の君は、きちんと琵琶は弾くけれど、頭の君が思いを寄せているのを、よそよそしく扱って、ただ、〔源氏の〕時たまのご好意の、心を引くところを、お断り申し上げられないでいるうちに、自然と、隠しきれなくなり、大宮なども、好ましくないとお思いになるようになったので、思い悩まれ、肩身の狭い気がして、興ざめな様子で、寄りかかって横になっている。

まったくお目にかかれない所へ、遠く離れてしまうのも、それはそれで、やはり心細く、思い乱れている。

底本:北村季吟編『湖月抄』延宝元年[1673]刊・国立国会図書館蔵 本別3-1 第6冊。本文画像:所蔵機関の公開資料。延宝元年(1673)刊『湖月抄』の大字本文を原画像とOCRで照合した独自編集本文です。通行字体・現行仮名へ写し、濁点・句読点を補い、反復符を展開しています。発音の読みと独自訳を添え、補った主語などは〔 〕で示します。