ATAWI 古典文学JAPANESE CLASSICS, AT YOUR PACE

第11帖 花散里 / 第4場面

西面の妹を訪ねて

あらすじ・人物・読み方

源氏は花散里の部屋にも立ち寄り、久しぶりに親しく言葉を交わします。

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西側のお部屋には、大げさにせずひっそりとお立ち寄りになって、中をおのぞきになるのも、珍しいうえ、長く日がたち、遠目にも見慣れないお姿なので、〔女は会えなかった〕つらさも忘れてしまいそうである。あれこれと、いつものように優しくお語りかけになるのも、お思いにもならないことを〔口先だけで〕言っているのではないのだろう。

たとえ一時でも関わりをお持ちになった相手は、ありきたりの程度の人ではないからだろうか、それぞれの様子に応じて、つまらない人だとお感じになる相手はいないからだろうか、互いに憎からず思い、自分も相手も情けを交わしながらお過ごしになるのだった。それを嫌だと思う人は、何かと心を変えるものだが、それも当然の、世のならいだとお考えになる。先ほどの垣根の〔女〕も、そのようにして、暮らしの様子が変わっていた相手なのであった。

底本:北村季吟編『湖月抄』延宝元年[1673]刊・国立国会図書館蔵 本別3-1 第11冊。本文画像:所蔵機関の公開資料。延宝元年(1673)刊『湖月抄』の大字本文を原画像とOCRで照合した独自編集本文です。通行字体・現行仮名へ写し、濁点・句読点を補い、反復符を展開しています。発音の読みと独自訳を添え、補った主語などは〔 〕で示します。