第15帖 蓬生 / 第1場面
都に残された人々
あらすじ・人物・読み方
源氏が藻塩垂れつつ須磨にわび住まいしていた頃、都にもさまざまに嘆く人が多かった。二条の上をはじめ身に寄り添う人々の心遣いが源氏を慰めた一方、表立っては名の知れないまま別れた人々も、心を砕いてその身を思いやっていた。
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現代語で読む
〔源氏が〕藻塩を垂れながら須磨でわび住まいをなさっていた頃、都にも、さまざまに思い嘆く人が多かったが、それでも、ご自身の身に寄り添う縁のある人々は、その一方の思いこそ苦しそうであったものの、二条の上なども穏やかに、旅のお住まいについても不安のないように、便りを絶やさずお通わせになり、お位をお退きになった仮のご装束のことにまで、竹の子のように次々と生じる世の憂い事につけては、お取り扱い申し上げなさるので、〔源氏は〕慰められただろう。かえって、表立ってはその数にも入らず人にも知られないまま、別れてしまった時のご様子までも、よそ事のように思いやる人々が、心の内で心を砕く類が多かった。
底本:北村季吟編『湖月抄』延宝元年[1673]刊・国立国会図書館蔵 本別3-1 第15冊。本文画像:所蔵機関の公開資料。延宝元年(1673)刊『湖月抄』の大字本文を、国立国会図書館デジタルコレクションの原画像(IIIF)と照合した独自編集本文です。通行字体・現行仮名へ写し、濁点・句読点を補い、反復符を展開しています。発音の読みと独自訳を添え、補った主語などは〔 〕で示します。