第18帖 松風 / 第14場面
月見の遊び
あらすじ・人物・読み方
酔いの席で源氏は淡路の島の月を詠み、頭中将が返し、左大弁は亡き桐壺院を偲ぶ。尽きぬ遊びに斧の柄も朽ちそうな夜更け、一行は騒ぎの中を急ぎ帰っていく。
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現代語で読む
巡り来て手に取るばかりに清らかですことよ、淡路の島で泡と見た月は。
頭中将は、
浮雲にしばらく紛れていた月影が、澄み果てた夜こそ、のどかなことでしょう。
左大弁は、少し年配で、故院の御代にも、親しく仕え慣れた人であった。
雲の上の住まいを捨てて、夜半の月はどこの谷に影を隠したのでしょう。
心々に数多くあるようだけれど、煩くて〔略す〕。
身近に静まった御物語が、少し乱れて、千年も見聞きしたい御様子なので、斧の柄も朽ちてしまうだろうけれど、今日だけはと言って、急いでお帰りになる。
物どもを品々に与えて、霧の絶え間に立ち混じっているのも、前栽の花に見え紛う色合いなどが、ことに見事である。近衛府の名高い舎人が、物の節どもなど控えているのに、騒々しいので、「其駒」などを乱れ遊んで、脱ぎかけなさる色々は、秋の錦を風が吹き覆うかと見える。
底本:北村季吟編『湖月抄』延宝元年[1673]刊・国立国会図書館蔵 本別3-1 第18冊。本文画像:所蔵機関の公開資料。延宝元年(1673)刊『湖月抄』の大字本文を、国立国会図書館デジタルコレクションの原画像(IIIF)と照合した独自編集本文です。通行字体・現行仮名へ写し、濁点・句読点を補い、反復符を展開しています。発音の読みと独自訳を添え、補った主語などは〔 〕で示します。