第18帖 松風 / 第7場面
桂の院への疑い
あらすじ・人物・読み方
源氏から嵯峨野の御堂へ行くという文が届くが、急に造るという桂の院に別の人を据えるのではないかと、明石の君は気が進まず、もどかしく日を送る。
下の同じ枠で原文・発音の読み・現代語を一節ずつ確認できます。どの読み方から始めても読了を記録できます。
表示と音声の設定
現代語で読む
「桂に見るべきことがございますのに、さあ、心ならずも時が過ぎてしまいました。訪ねようと言った人までが、あの辺り近くに来ていて待っているので、心苦しくて。嵯峨野の御堂にも、飾りのない仏のお参りをしなければなりませんので、二、三日はおりますでしょう」
と申し上げなさる。
「桂の院という所を、急にお造らせになると聞くのは、そこに〔別の人を〕据えなさるのだろうか」とお思いになると、心が進まないので、「斧の柄さえ取り替えなさるほどの月日が経つのか、待ち遠しい」と、気が進まないご様子である。
「例の、比べるのが苦しいほどの〔源氏のご寵愛の移ろい〕で、昔の様子の名残もないと、世の人も言うそうなのに」と、あれやこれやとお心を取りなしなさるうちに、日が高くなった。
底本:北村季吟編『湖月抄』延宝元年[1673]刊・国立国会図書館蔵 本別3-1 第18冊。本文画像:所蔵機関の公開資料。延宝元年(1673)刊『湖月抄』の大字本文を、国立国会図書館デジタルコレクションの原画像(IIIF)と照合した独自編集本文です。通行字体・現行仮名へ写し、濁点・句読点を補い、反復符を展開しています。発音の読みと独自訳を添え、補った主語などは〔 〕で示します。