ATAWI 古典文学JAPANESE CLASSICS, AT YOUR PACE

第20帖 朝顔 / 第1場面

斎院の御下り

あらすじ・人物・読み方

賀茂の斎院を下りた朝顔の姫君に、源氏は昔から絶えぬ執心でしきりに文を送るが、姫君はわづらはしく思って心を許さない。長月、姫君が桃園宮の女五の宮のもとへ移ったと聞き、源氏は女五の宮を訪ねる口実で参上する。

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現代語で読む

斎院〔朝顔の姫君〕は、御服喪のため〔賀茂の斎院を〕お下りになったそうである。大臣〔源氏〕は、例によって、〔若い日に〕思いそめたことが絶えない御癖で、ご訪問〔の文〕などをたいそうしきりに申し上げなさる。宮〔姫君〕は、〔以前〕わずらわしかったことをお思いになると、お返事もうちとけた様子では申し上げなさらない。〔源氏は〕たいそう残念に思い続けなさる。

長月になって、〔姫君が〕桃園宮へお移りになったと聞いて、女五の宮がそこにいらっしゃるので、そちらへのご訪問にかこつけて参上なさる。亡き院〔桐壺帝〕が、この御子たちを、心から格別に大切にお思い申し上げていらしたので、今も親しく次々にお便りを交わし合っていらっしゃるようである。〔女五の宮と姫君は〕同じ寝殿の西と東にお住まいになっていた。ほどなく荒れてしまった心地がして、しみじみと気配が静かである。

底本:北村季吟編『湖月抄』延宝元年[1673]刊・国立国会図書館蔵 本別3-1 第20冊。本文画像:所蔵機関の公開資料。延宝元年(1673)刊『湖月抄』の大字本文を、国立国会図書館デジタルコレクションの原画像(IIIF)と照合した独自編集本文です。通行字体・現行仮名へ写し、濁点・句読点を補い、反復符を展開しています。発音の読みと独自訳を添え、補った主語などは〔 〕で示します。