ATAWI 古典文学JAPANESE CLASSICS, AT YOUR PACE

第22帖 玉鬘 / 第14場面

頭中将の参上

あらすじ・人物・読み方

源氏は実の父である頭中将にも姫君の存在を知らせ、中将は正式に二条院へ参上して娘と対面する。豊後介はこなたの家司に取り立てられ、姫君の暮らしは整っていく。

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現代語で読む

中将の君〔頭中将〕にも、「このような人〔玉鬘〕を尋ね出したのだから、心を用いて親しく訪ねよ」とおっしゃったので、〔中将は〕こちらにお参りになって、「人数でなくとも、このような者が控えておりますと、まずお呼び寄せくださるべきでした。お移りの際にも、お参りしてご奉仕しなかったこと〔は失礼でした〕」

と、たいそうまじめに申し上げなさると、傍ら痛いほどに、事情を知る人は思う。心の限りを尽くしたお住まいであるけれど、あきれるほど田舎びていた〔筑紫の住まい〕も、比べようもなく思い比べられる。お部屋のしつらえをはじめ、今風で気高く、親や兄弟と親しくし合われるご様子、容貌をはじめ、目もあやに思われるにつけ、今こそ、三条も大弐を侮りがたく思った。まして、監〔大夫監〕の意図や様子を思い出すのも、不吉なこと限りない。

豊後介の心ばえを得難いものと君〔源氏〕もお分かりになり、右近もそう思って言う。「大ざっぱな者は、仕事も怠るだろう」と言って、こちらの家司どもを定め、あるべき事どもをお決めになる。豊後介も〔家司に〕なった。長年田舎に沈んでいた心地に、にわかに跡形もなく、どうして、仮にも立ち入って見るすべもないと思っていた大邸の内を、朝夕に出入りし慣れ、人を従え、用事を行う身となると、たいそう面目なことと思った。大臣の君のお心づかいの、細やかで得難くいらっしゃることは、まことに恐れ多い。

底本:北村季吟編『湖月抄』延宝元年[1673]刊・国立国会図書館蔵 本別3-1 第22冊。本文画像:所蔵機関の公開資料。延宝元年(1673)刊『湖月抄』の大字本文を、国立国会図書館デジタルコレクションの原画像(IIIF)と照合した独自編集本文です。通行字体・現行仮名へ写し、濁点・句読点を補い、反復符を展開しています。発音の読みと独自訳を添え、補った主語などは〔 〕で示します。