第23帖 初音 / 第10場面
前栽の紅梅、源氏の独詠
あらすじ・人物・読み方
人住まぬ邸の静けさの中で、源氏は御前の木立と咲き出した紅梅の香りを見渡す。見てはやす人もない花に、昔なじみの里を訪ねた思いを独り詠むが、末摘花には聞き分けられない。
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現代語で読む
荒れた所もないけれど、お住まいにならない所の様子は静かで、御前の木立だけがたいそう趣深く、紅梅の咲き出した香りなどを、見てはやす人もないのを見渡しなさって、
昔なじみの里の春の梢を訪ねて来て、世の常ではない花を見ることだなあ。
と独り言をおっしゃるけれど、〔末摘花は〕聞き分けることもなさらなかったのだろう。
底本:北村季吟編『湖月抄』延宝元年[1673]刊・国立国会図書館蔵 本別3-1 第23冊。本文画像:所蔵機関の公開資料。延宝元年(1673)刊『湖月抄』の大字本文を、国立国会図書館デジタルコレクションの原画像(IIIF)と照合した独自編集本文です。通行字体・現行仮名へ写し、濁点・句読点を補い、反復符を展開しています。発音の読みと独自訳を添え、補った主語などは〔 〕で示します。