ATAWI 古典文学JAPANESE CLASSICS, AT YOUR PACE

第28帖 野分 / 第14場面

大宮のもとで内大臣、玉鬘に会えぬ嘆きを語る

あらすじ・人物・読み方

夕霧は祖母宮・大宮のもとにも参り、居合わせた内大臣と穏やかに語らう。内大臣は玉鬘に長く会えないことを嘆いて泣き、今のうちに参らせたいと言い、扱いにくい娘を持て余すと笑って語る。

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現代語で読む

祖母宮〔大宮〕のもとにも〔夕霧が〕参上すると、〔大宮は〕のんびりとお勤めをなさっている。感じのよい若い女房なども、ここにもお仕えしているが、もてなしぶりや装束なども、〔源氏の〕盛りのあたり〔六条院〕には比べものにならない。容貌のよい尼君たちが、墨染め〔の衣〕にやつれているのが、かえってこのような場所では、それなりに趣深いのであった。内大臣も参上なさっているところへ、灯明なども供えられて、〔夕霧は〕ゆったりとお話などを申し上げなさる。

「姫君〔玉鬘〕に長らくお目にかかれないのが、情けないことです」と言って、ただ泣くばかりにお泣きになる。「今このごろのうちに〔玉鬘をそちらへ〕参らせましょう。〔私は〕自分から物思いに沈みがちで、残念なことに衰えてしまったようです。娘というものは、よく言えば、持つべきではないものでしたね。何につけても、心ばかりがすり減らされてきました」

などと、なお心が解けず〔玉鬘のことを〕思い置いている様子でおっしゃるので、〔夕霧は〕つらくて、切に申し上げることもおできにならない。そのついでにも、「とても扱いにくい娘を持ってしまって、持て余しております」と、お嘆き申し上げて、〔内大臣は〕お笑いになる。宮〔大宮〕は、

「まあ、不思議な。娘という名を持ちながら、扱いにくいということがあるものでしょうか」とおっしゃると、「それが見苦しいことなのです。なんとかして、〔あなたに玉鬘を〕ご覧に入れたいものです」と、〔内大臣は〕申し上げなさるということである。

底本:北村季吟編『湖月抄』延宝元年[1673]刊・国立国会図書館蔵 本別3-1 第28冊。本文画像:所蔵機関の公開資料。延宝元年(1673)刊『湖月抄』の大字本文を、国立国会図書館デジタルコレクションの原画像(IIIF)と照合した独自編集本文です。通行字体・現行仮名へ写し、濁点・句読点を補い、反復符を展開しています。発音の読みと独自訳を添え、補った主語などは〔 〕で示します。