ATAWI 古典文学JAPANESE CLASSICS, AT YOUR PACE

第28帖 野分 / 第3場面

野分の夜、玉鬘のもとへの見舞い

あらすじ・人物・読み方

野分の風が強まる夜、人々が玉鬘のもとに参って風の被害を案じ、備えに騒ぎ立てる。三条の宮から駆けつけた夕霧は、心細がる大宮の様子を源氏に伝え、源氏は早く宮へ戻るよう促し、玉鬘には夕霧に任せるよう伝える。

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現代語で読む

人々が〔玉鬘のもとへ〕参ってきて、「たいそう荒々しく吹きそうな風でございます。〔風が〕東北の方角から吹いてまいりますので、この御前は穏やかです。馬場の御殿や南の釣殿などは、危なそうで〔ございます〕」と言って、あれこれと〔風への〕備えをして騒ぎ立てる。

〔源氏が〕「中将は、どこから〔いらっしゃった〕のか」〔とお尋ねになる〕。〔夕霧が答えて〕「三条の宮に伺っておりましたが、『風がひどく吹きそうだ』と人々が申しましたので、〔こちらが〕心配で参りました。あちら〔の大宮〕は、なおさら心細く、風の音にさえ、今ではかえって幼い子どものように怯えていらっしゃるようですので。〔それが〕気の毒で、〔三条の宮を〕退出してまいりましょう」と〔夕霧が〕申し上げなさると、

〔源氏が〕「確かに、早く〔三条の宮へ〕お行きなさい。年をとっていって、また若くなるなどということは、この世にありえないことだが、確かに、〔大宮は〕まさにそのようでいらっしゃる」などと〔源氏が〕しみじみと申し上げなさって、

「こんなに騒がしそうでございますが、この朝臣〔夕霧〕がお仕えしておりますから、〔私のことは彼に〕お任せください」と、〔玉鬘へ〕お言葉を申し上げなさる。

底本:北村季吟編『湖月抄』延宝元年[1673]刊・国立国会図書館蔵 本別3-1 第28冊。本文画像:所蔵機関の公開資料。延宝元年(1673)刊『湖月抄』の大字本文を、国立国会図書館デジタルコレクションの原画像(IIIF)と照合した独自編集本文です。通行字体・現行仮名へ写し、濁点・句読点を補い、反復符を展開しています。発音の読みと独自訳を添え、補った主語などは〔 〕で示します。