ATAWI 古典文学JAPANESE CLASSICS, AT YOUR PACE

第29帖 行幸 / 第4場面

西の対への文と玉鬘の返歌

あらすじ・人物・読み方

翌日、源氏は西の対の玉鬘へ文を送り、昨日帝を拝見したか、宮仕えの気持ちは傾いたかと尋ねる。玉鬘は「つまらないことを」と笑いながらも、霧と朝曇りではっきり見えなかったという歌を返し、帝への関心を曖昧にぼかす。その返事を紫の上も目にする。

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現代語で読む

翌日、大臣は西の対に、

「昨日、主上(帝)を拝見なさいましたか。あのことは、お気持ちが傾きましたか」

と申し上げなさっていた。白い色紙に、たいそう打ち解けた文面の手紙で、細かに含みを持たせたのでもないのに風情があるのを〔玉鬘が〕ご覧になって、

「まあ、つまらないことを」

と笑いなさりながらも、「よくもここまで推し量ってくださるものだ」とお思いになる。お返事に、

「昨日は、霧が立ちこめ、朝曇りした行幸の日には、はっきりと空の光を見たでしょうか(いえ、よくは見えませんでした)。定かでないお話ばかりでございます」

とあるのを、上の方(紫の上)もご覧になる。

底本:北村季吟編『湖月抄』延宝元年[1673]刊・国立国会図書館蔵 本別3-1 第29冊。本文画像:所蔵機関の公開資料。延宝元年(1673)刊『湖月抄』の大字本文を、国立国会図書館デジタルコレクションの原画像(IIIF)と照合した独自編集本文です。通行字体・現行仮名へ写し、濁点・句読点を補い、反復符を展開しています。発音の読みと独自訳を添え、補った主語などは〔 〕で示します。