ATAWI 古典文学JAPANESE CLASSICS, AT YOUR PACE

第30帖 藤袴 / 第7場面

出仕を十月に定める

あらすじ・人物・読み方

源氏は玉鬘の出仕を十月に決める。求婚者たちは出仕の前にと焦って取り次ぎを頼み、夕霧も後見の体をして玉鬘のもとへ通い続ける。

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現代語で読む

「内輪の話でも、身分の高いあの方この方が、長年〔宮中に〕おいでになるので、〔玉鬘は〕その方面の人数には加わることができず、捨て置くような形でこのように譲り付け、大ざっぱな宮仕えの方面で、〔帝のお側に〕置こうとお考えになっていたのは、たいそう賢明で才知のあることだと、〔人々が〕喜び申し上げていたと、確かに人が語り申しておりました」

と、たいそう丁寧な様子で〔夕霧が〕語り申し上げなさると、「なるほど、そうお思いになるだろう」と〔源氏が〕お思いになるにつけ、気の毒で、

「たいそう紛らわしい方面にまでお考えが及んでいたのですね。至って深いお心の習慣なのでしょう。今は自然に、どちらの方面でも、明らかになることがあるでしょう。思いに隈がないことよ」

と〔源氏は〕お笑いになる。ご様子ははっきりしているけれど、それでも、〔世間の〕疑いは残る。大臣(源氏)も、

「そうだな。このように人が推し量り、予想通りのこともあったならば、たいそう残念でひねくれたことになるだろう。あの大臣(内大臣)に、どうにかして、このように心が清い様子を知らせ申し上げたい」

とお思いになるにつけ、「なるほど、宮仕えの方面で、はっきりさせず紛れた評判を、賢くもお考え寄りになったものだな」と、〔源氏は〕恐ろしくお思いになる。

こうして喪服などをお脱ぎになって、

「月が改まれば、なお参内なさることは慎むべきでしょう。十月ごろに」

とお思いになっておっしゃるのを、帝も物足りなくお聞きになり、申し上げなさる人々は、誰もかれも、たいそう残念で、この参内より先にと、心を寄せる縁ごとに頼み悩みなさるけれど、

「吉野の滝を堰き止めるよりも難しいことなので、たいそう無理です」

と、〔求婚者たちは〕それぞれ答える。

中将(夕霧)も、かえって厄介なことを言い出して、「〔玉鬘は〕どうお思いだろう」と苦しい気持ちのままに、駆け回って、たいそう熱心に、大体の後見役を引き受けている体で、機嫌を取りながら歩き回りなさる。たやすく、軽々しく言い出して申し掛かりなさることはなく、無難に振る舞って落ち着いておられた。

実の兄弟である君たちは、近寄ることができず、「宮仕えの間の後見を」と、それぞれ心もとなく思っていた。

底本:北村季吟編『湖月抄』延宝元年[1673]刊・国立国会図書館蔵 本別3-1 第30冊。本文画像:所蔵機関の公開資料。延宝元年(1673)刊『湖月抄』の大字本文を、国立国会図書館デジタルコレクションの原画像(IIIF)と照合した独自編集本文です。通行字体・現行仮名へ写し、濁点・句読点を補い、反復符を展開しています。発音の読みと独自訳を添え、補った主語などは〔 〕で示します。