源氏物語 第30帖
藤袴 ふじばかま
あらすじ
大宮の喪に服す玉鬘は、尚侍としての出仕を思い悩む。源氏の使いで訪れた夕霧は、喪の色に託して思いを寄せ、藤袴の歌を贈るが、玉鬘は応じない。喪が明けて出仕が十月に決まる中、柏木・鬚黒・蛍兵部卿宮ら求婚者の文が届き、玉鬘は蛍兵部卿宮にだけ返歌を送る。
この帖の人物
場面 第1–5場面
第1場面尚侍出仕への不安玉鬘は尚侍としての出仕を勧められるが、源氏への遠慮と実父・内大臣への気兼ねから思い悩む。実の親が見つかった後も、源氏の隔てのないもてなしがかえって嘆きを深める。第2場面夕暮れの玉鬘と夕霧の参上相談すべき女親もなく、夕暮れの空を眺める玉鬘のもとへ、源氏の使いとして宰相中将・夕霧が訪れる。薄い喪服姿の二人は、互いに引き立て合って美しい。第3場面喪服をめぐる対話夕霧は源氏の伝言を取り次ぐうち、喪服の始末に話を寄せ、亡き母の形見ともいうべき喪の色に託して、秘めた思慕をほのめかす。玉鬘はしんみりと応じる。第4場面藤袴の贈答夕霧は蘭の花に藤袴の歌を添えて御簾の端から差し出し、玉鬘も返歌で応える。夕霧は頭中将・柏木の思いにも触れて訴えるが、玉鬘は気分が悪いと言って奥へ引き下がる。第5場面夕霧、源氏に復命夕霧は源氏に復命し、玉鬘が出仕を渋る様子と、蛍兵部卿宮が熱心に言い寄せて玉鬘の心も動いているらしいことを報告する。
場面 第6–10場面
第6場面源氏の考え方源氏は、鬚黒大将までもが自分を恨むと嘆き、玉鬘を引き取った事情を語る。夕霧は世間の邪推と内大臣の言葉を伝え、源氏の真意を探る。第7場面出仕を十月に定める源氏は玉鬘の出仕を十月に決める。求婚者たちは出仕の前にと焦って取り次ぎを頼み、夕霧も後見の体をして玉鬘のもとへ通い続ける。第8場面内大臣の使者・柏木の来訪実の兄たちは玉鬘に近づけずにいる。内大臣の使いとして頭中将・柏木が訪れ、月の明るい夜、桂の蔭に隠れて宰相の君を介し、恨みを込めて言葉を交わす。第9場面柏木と歌を詠み交す柏木は妹背山の歌で長年の恨みを訴え、玉鬘も返歌で応じる。柏木はこれ以上長居はできぬと告げて帰っていく。第10場面鬚黒大将の執心大将・鬚黒は、玉鬘のことは源氏の意向次第だと聞き、弁の許を責める。鬚黒の北の方は式部卿宮の大君で紫の上の姉にあたるが、鬚黒の心はすでに離れている。
場面 第11–12場面
出典・底本
底本:北村季吟編『湖月抄』延宝元年[1673]刊・国立国会図書館蔵 本別3-1 第30冊。本文画像:所蔵機関の公開資料。延宝元年(1673)刊『湖月抄』の大字本文を、国立国会図書館デジタルコレクションの原画像(IIIF)と照合した独自編集本文です。通行字体・現行仮名へ写し、濁点・句読点を補い、反復符を展開しています。発音の読みと独自訳を添え、補った主語などは〔 〕で示します。