ATAWI 古典文学JAPANESE CLASSICS, AT YOUR PACE

第46帖 椎本 / 第16場面

宮の責めと三条宮の火事

あらすじ・人物・読み方

兵部卿宮は薫を責め、夕霧は六の君との縁談を望むが薫は応じない。その年、三条宮が焼け、宇治への訪れも遠のく。

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現代語で読む

〔匂宮が〕思いが余りなさると、ただ中納言〔薫〕をあれこれと責め恨み申し上げなさるので、〔薫は〕おかしいと思いながら、とても請け合った後見人らしい顔でお答え申し上げて、浮ついた〔匂宮の〕お心の様子をも見せつけられる時々には、

「どうして、そんなふうには〔なれましょうか〕」などと〔薫が〕申し上げなさると、宮〔匂宮〕もお心づかいなさるのだろう。「心に適う相手を、まだ見つけていないところだよ」と〔薫は〕おっしゃる。

大殿の六の君を〔薫が〕お迎え入れにならないことを、少し恨めしそうに、大臣〔夕霧〕も思っていらした。しかし、

「興味のなさそうな仲であるうちにも、大臣〔夕霧〕がいかめしく煩わしくて、どんな紛れ事も見咎められるだろうのが厄介だ」と、心の中ではおっしゃって、〔薫は〕拒んでいらっしゃる。

その年、三条宮が焼けて、入道宮〔朱雀院〕も六条院にお移りになり、あれこれと騒がしいことに紛れて、〔薫は〕宇治の方を長くお訪ね申し上げなさらない。まじめな人〔薫〕のお心はまたとても違っていたので、とてもゆったりと、「自分のものとは頼みにしながら、女〔大君〕のお心が緩みなさらない限りは、戯れじみた情けない様子には見せまい」と思いながら、「昔のお心を忘れない方を、深くお知りください」と〔薫は〕思う。

底本:北村季吟編『湖月抄』延宝元年[1673]刊・国立国会図書館蔵 本別3-1 第46冊。本文画像:所蔵機関の公開資料。延宝元年(1673)刊『湖月抄』の大字本文を原画像とOCRで照合した独自編集本文です。通行字体・現行仮名へ写し、濁点・句読点を補い、反復符を展開しています。発音の読みと独自訳を添え、補った主語などは〔 〕で示します。