第48帖 早蕨 / 第3場面
薫、匂宮を訪ねる
あらすじ・人物・読み方
正月下旬、薫は匂宮を訪れる。梅の下枝を携えた薫に、匂宮は梅の歌を贈り、二人は戯れの贈答を交わす。
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現代語で読む
内宴など、何かと騒がしい時期を過ごして、中納言の君は、「心に余ることを、また誰に話そうか」と思い余って、兵部卿宮の御方に参上なさった。
しんみりとした夕暮れなので、宮は物思いに耽って、端近くにいらっしゃった。箏のお琴を掻き鳴らしながら、いつものようにお気に入りの梅の香を賞美しておいでになる、その下枝を手折って参上なさったが、匂いがたいそう優雅で素晴らしいのを、折柄風情があるとお思いになって、折る人の心に通う花なのでしょうか。表には現れず、内に匂いを含んでいます。とおっしゃるので、
見る人に言いがかりをつけられる花の枝は、心して折るべきでした。迷惑なことです」と、戯れを言い交わしなさっている、実に仲のよいお二人である。
底本:北村季吟編『湖月抄』延宝元年[1673]刊・国立国会図書館蔵 本別3-1 第48冊。本文画像:所蔵機関の公開資料。延宝元年(1673)刊『湖月抄』の大字本文を原画像とOCRで照合した独自編集本文です。通行字体・現行仮名へ写し、濁点・句読点を補い、反復符を展開しています。発音の読みと独自訳を添え、補った主語などは〔 〕で示します。