ATAWI 古典文学JAPANESE CLASSICS, AT YOUR PACE

第49帖 宿木 / 第23場面

年明け、中の君の懐妊

あらすじ・人物・読み方

年が明け、中の君は懐妊の身を病む。京では女二の宮の裳着の準備が始まる。

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正月の晦日頃から、〔中の君が〕例ならぬ様子にお悩みになるのを、宮〔匂宮〕はまだご存じないことなので、どうなることかとお嘆きになって、御修法などをあちこちで多くおさせになる上に、さらに新しく始め添えさせなさる。〔中の君が〕たいそうひどくお苦しみになるので、后の宮〔明石の姫君〕からもお見舞いがあった。

こうなって三年になるけれど、〔匂宮の〕一人の方へのご愛情こそ並々ではなかったものの、世間一般には大げさにお扱い申し上げてはこなかったのを、この折にこそ、どこでもどこでも〔帝をはじめ人々が〕お聞きになって驚かれ、お見舞いを申し上げなさった。

中納言の君〔薫〕は、宮〔匂宮〕がお騒ぎになるのに劣らず、〔中の君が〕どうおなりだろうと嘆いて、心苦しく気がかりに思われるけれど、限りあるお見舞いばかりしかできず、あまり参上なさることもできず、忍んでご祈祷などをおさせになっていた。

一方、女二の宮の御裳着は、ちょうどこの頃になって、世間の評判となり準備が大騒ぎで進められている。万事、帝のお心一つであるかのようにご準備を急がれるので、ご後見がないことがかえって目出度そうに見えた。

女御〔藤壺の女御〕がしておかれたことはさておき、作物所やしかるべき受領たちが、それぞれお仕えする事柄は、たいそう限りないことである。

やがてその頃に、〔女二の宮が薫の邸へ〕お入りになり始めるはずになっていたので、男方〔薫〕も心遣いなさる頃であるけれど、いつものことなので、そちら方面には心も入らず、この御事〔中の君の病〕ばかりが痛ましく嘆かれる。

底本:北村季吟編『湖月抄』延宝元年[1673]刊・国立国会図書館蔵 本別3-1 第49冊。本文画像:所蔵機関の公開資料。延宝元年(1673)刊『湖月抄』の大字本文を、国立国会図書館デジタルコレクションの原画像(IIIF)と照合した独自編集本文です。通行字体・現行仮名へ写し、濁点・句読点を補い、反復符を展開しています。発音の読みと独自訳を添え、補った主語などは〔 〕で示します。