野宮 / 第1場面
野の宮を訪れる旅僧
あらすじ・人物・読み方
秋の末、諸国一見の旅僧が都の名所旧跡を見尽くし、西山へ向かう途中で嵯峨野の野の宮の旧跡に立ち寄る。黒木の鳥居と小柴垣は昔と変わらぬ有様であった。
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野宮・第1場面0 / 2
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ワキの言葉「私は諸国を巡る一見の僧でございます。このところ都に滞在し、洛陽の名所旧跡を残らず見物いたしました。寺社も残らず拝み巡りました。また秋も末になりましたので、嵯峨野の方へ行ってみたいと思い、立ち越えて一見しようと思います。ただいま西山へと向かっております。この森を人に尋ねますと、野宮の旧跡だとのこと。逆縁ではありますが、立ち寄って一見しようと思います。私がこの森へ来て見ますと、黒木の鳥居に小柴垣、昔と変わらぬ有様です。」
「これはいったいどういうことでしょうか。よし、このような時節に参り合わせて、お拝み申すのはありがたいことです。なるほど伊勢の神の垣に隔てはなく、仏法の教えの道はまっすぐで、ここを尋ねて来れば宮どころも心も澄んでまいります。夕暮れであることよ。」
底本:謡曲二百番:四流対照 下巻 芳賀矢一訂(金港堂書籍、明治42年)。本文画像:所蔵機関の公開資料。
明治42年(1909)芳賀矢一訂『謡曲二百番:四流対照』下巻(金港堂書籍)所収「野宮」(観世流)の本文を、国立国会図書館デジタルコレクションの原画像と照合した独自編集本文です。底本の主文(観世流)の字句を残し、他流の異文符は本文に含めていません。発音の読みと独自訳を添えています。