ATAWI 古典文学JAPANESE CLASSICS, AT YOUR PACE

第6帖 末摘花 / 第7場面

命婦への頼みを強める

あらすじ・人物・読み方

源氏は返事のなさに興ざめしていましたが、中将に先を越されたくない気持ちから、命婦へ熱心に頼みます。

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源氏の君は、それほど深くも思っていないことなのに、こうも愛想がないのを、興ざめにお思いになるようになっていたが、こうして、この中将が言い寄っていたのなら、口数多く、言い慣れている方へこそ、心を寄せるだろうな。得意顔で、これまでのことをすっかり顧みなくなるような様子は、不愉快だろうなと、お思いになって、命婦に、熱心にお頼みになる。

「様子もわからず、よそよそしくなさるご様子が、本当につらい。浮ついた恋心だと、疑っていらっしゃるのでしょう。そうはいっても、移ろいやすい気持ちでお付き合いすることは、できないのですから。相手の心が、おおらかでなくて、思いがけないことばかりなので、自然と、私の落ち度になってしまうでしょう。気立てがおおらかで、親兄弟が世話を焼き、恨むこともなく、気兼ねなく付き合える人は、かえって、かわいらしく思えるでしょうに」とおっしゃると、

「いえ、あのように、風流をお求めの折に、気軽にお立ち寄りになる所としては、どうも、ふさわしそうには、お見えになりません。ひたすら、気おくれして、引っ込んでいらっしゃるところは、めったにないほどでいらっしゃる方です」と、〔命婦は、姫君の〕ご様子を、お話し申し上げる。

「ものなれて、才気を示すようなことを、望んではいません。とても、子供っぽく、おおらかであろうことこそ、かわいらしいでしょう」と、お忘れにならず、おっしゃる。

底本:北村季吟編『湖月抄』延宝元年[1673]刊・国立国会図書館蔵 本別3-1 第6冊。本文画像:所蔵機関の公開資料。延宝元年(1673)刊『湖月抄』の大字本文を原画像とOCRで照合した独自編集本文です。通行字体・現行仮名へ写し、濁点・句読点を補い、反復符を展開しています。発音の読みと独自訳を添え、補った主語などは〔 〕で示します。