ATAWI 古典文学JAPANESE CLASSICS, AT YOUR PACE

第44帖 竹河 / 第11場面

冷泉院の寵愛

あらすじ・人物・読み方

院の后や女御のもと、大君は並びない寵愛を受ける。玉鬘も召され、薫は明け暮れ御前に召される。

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現代語で読む

大人、童女、感じのよい限りの人々が整えられた。だいたいの儀式などは、内裏へ参上なさるはずだった場合と、変わることはない。まず、〔大君は〕女御の御方へお渡りになって、尚侍の君〔玉鬘〕は、御物語などを申し上げなさる。夜が更けてから、〔大君は〕上〔冷泉院〕の御もとへ参上なさったのだった。

后や女御など、皆が年頃を経て落ち着いていらっしゃるのに、〔大君は〕とても美しい様子で、盛りに見所のある様子を〔院が〕拝見なさるのは、どうして並々であろうか〔格別である〕。〔大君は〕華やかに御寵愛を受けていらっしゃる。ただ人〔普通の人〕のようにして、気安く振る舞っていらっしゃる様子こそが、本当に、理想的で素晴らしかった。

尚侍の君〔玉鬘〕に、しばらくお仕えしていただきたいと、〔冷泉院は〕御心を留めてお思いになっていたのに、とても早く、そっとお出になってしまったので、残念でつらくお思いになっていた。

源侍従の君〔薫〕を、明け暮れ御前に召し連れていらして、本当に、昔の光る源氏がお育ちになった頃に劣らないほどの、人の御寵愛である。院の内では、どの御方にも疎遠でなく、馴れ交じって歩き回っていらっしゃる。この御方〔女御〕にも、心を寄せている顔つきで振る舞って、内心では、〔女御が自分を〕どうご覧になるだろうかという気持ちまで添っていらっしゃった。

底本:北村季吟編『湖月抄』延宝元年[1673]刊・国立国会図書館蔵 本別3-1 第44冊。本文画像:所蔵機関の公開資料。延宝元年(1673)刊『湖月抄』の大字本文を原画像とOCRで照合した独自編集本文です。通行字体・現行仮名へ写し、濁点・句読点を補い、反復符を展開しています。発音の読みと独自訳を添え、補った主語などは〔 〕で示します。