ATAWI 古典文学JAPANESE CLASSICS, AT YOUR PACE

第44帖 竹河 / 第4場面

竹河の歌

あらすじ・人物・読み方

翌朝、薫は藤侍従に文を送り、「竹河」の歌を交わす。竹河の橋の夜の一節が、二人の交わりのはじまりとなる。

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現代語で読む

朝になって、四位侍従〔薫〕のもとから、主人の侍従〔藤侍従〕のもとへ、〔手紙が届いた〕。「昨夜は、たいそう取り乱してしまったのを、人々はどうご覧になったでしょうか」と、〔姫君たちにも〕ご覧くださいと願うように、仮名文字を多く用いて書いて、

「竹河」の歌を歌い出した一節に、私の深い心の底を、お分かりになりましたか。

と書いてあった。〔手紙を〕寝殿に持って参って、あの方もこの方もご覧になる。「〔薫の〕字なども、たいそう見事なことですね。どんな人だろう、今からこのように何もかも整っていらっしゃるとは。幼くて、院〔源氏〕にもお別れ申し上げ、母宮が気ままにお育てになったけれど、やはり人より優れていらっしゃるに違いないようです」と言って、尚侍の君〔玉鬘〕は、ご自分の君たち〔子どもたち〕の、字などが下手なことを恥ずかしがらせなさる。返事は、なるほど、たいそう若々しく、

「昨夜は、水駅のことで、〔あなたが〕お咎めを受けたようでした。

「竹河」の歌で夜を更かすまいと急いでお帰りになったけれども、どんな一節を心に留めておかれるのでしょう。

なるほど、この一節〔の贈答〕をきっかけに、〔薫は〕この君〔藤侍従〕の御部屋にいらしては、〔姫君への〕気ありげな様子を見せる。少将〔蔵人少将〕が推し量ったとおり、家の人々は皆〔薫に〕心を寄せた。侍従の君〔藤侍従〕も、若い心に、近い縁者として、明け暮れ〔薫と〕親しくしたいと思っていた。

底本:北村季吟編『湖月抄』延宝元年[1673]刊・国立国会図書館蔵 本別3-1 第44冊。本文画像:所蔵機関の公開資料。延宝元年(1673)刊『湖月抄』の大字本文を原画像とOCRで照合した独自編集本文です。通行字体・現行仮名へ写し、濁点・句読点を補い、反復符を展開しています。発音の読みと独自訳を添え、補った主語などは〔 〕で示します。