御伽草子「一寸法師」 / 第5場面
鬼が島と打出の小槌
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あらすじ・人物・読み方
鬼に飲まれても目から飛び出す機転で鬼を追い払い、置いていった打出の小槌で背を伸ばし、金銀と飯を打ち出す。噂は内裏に聞こえ、一寸法師は参内する。
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一人が言うようは、「〔一寸法師を〕飲んで、あの女房を取ろう」と言う。〔鬼が一寸法師を〕口から飲んだところ、〔一寸法師は〕目の中から出てしまった。鬼が言うようは、「これは癖者だな」。口をふさげば目から出てくる。一寸法師は、鬼に飲まれては、目から出て飛び回ったので、鬼も恐れおののいて、「これはただ者ではない。ただ地獄から乱れ出てきたのだ。ただ逃げよう」と言うままに、打出の小槌も、杖を持つ鬼に至るまで、みな打ち捨てて、極楽浄土のいねぬの、いかにも暗い所へ、やっとのことで逃げていった。
さて一寸法師はこれを見て、まず、打出の小槌をなんばうし、「私の背を、大きくなれ」と、どうどう打ったところ、まもなく背が大きくなって、望みがかなったので、まず、飯を打ち出し、いかにも美味しそうな飯が、どこからともなく出てきた。不思議なこと、仕合わせなことであった。その後、金銀を打ち出し、姫君とともに都へ上り、五条あたりに宿を取り、十日ほどいたところ、このことが隠れようもなく、内裏にお聞き及びになって、急ぎ一寸法師をお召しになった。そこで参内したところ、大王がご覧になって、「まことに愛らしい童である」と〔おっしゃった〕。
底本:『御伽草子 後』今泉定介・畠山健校定、吉川半七、明治24年[1891](国立国会図書館蔵 913.49-O-I)所収「一寸法師」。本文画像:所蔵機関の公開資料。
明治24年(1891)今泉定介・畠山健校定『御伽草子 後』(吉川半七、国立国会図書館蔵 913.49-O-I)所収「一寸法師」の本文を、国立国会図書館デジタルコレクションの原画像と照合した独自編集本文です。底本は渋川版の本文を明瞭な字形で伝える明治の校定本で、通行字体・現行仮名へ写し、句読点を補っています。発音の読みと独自訳を添え、補った主語などは〔 〕で示します。