一寸法師
住吉明神への祈りで授かった、背が一寸しかない子。針を帯びて都へ上り、計略と打出の小槌で身を立て、少将・中納言へ出世する。

難波の老夫婦が住吉明神に祈って授かった子は、背が一寸しかない一寸法師であった。親に疎まれて家を出た彼は、針を帯び、小さな器を舟にして都へ上り、三条の宰相の館で姫君への計略をめぐらす。鬼が島で打出の小槌を手に入れて望みをかなえ、帝に召されて出世し、末は繁昌する。御伽草子の短編。
肖像は物語をもとにした創作画です。人物の年齢・衣装は場面によって変わります。
住吉明神への祈りで授かった、背が一寸しかない子。針を帯びて都へ上り、計略と打出の小槌で身を立て、少将・中納言へ出世する。
難波の里に住む翁。一寸法師の父。のちに堀河の中納言の子で、人の讒言により流された人と知れる。
翁の妻。四十歳まで子がなく、住吉明神に祈って一寸法師を授かる。のちに伏見の少将の子と知れる。
翁夫妻の祈りを哀れんで子を授けた神。物語の結びで、その誓いによって一寸法師が末繁昌に栄えたとされる。
呼び名:住吉明神都の三条に住む宰相。一寸法師を面白がって館に置くが、姫君への計略に怒り、その始末を一寸法師に命じる。
三条の宰相の娘。十三歳。御姿が優れ、一寸法師の思いと計略の的となり、ともに都を落ち、鬼が島を経て都へ戻る。
三条の宰相の妻で、姫君の継母。その言葉のために、宰相は姫君たちを引き留めなかった。底本は「まゝはゝ」に小さな字で「継母」の注を添える。
京離る島に住む二人の鬼。一人は打出の小槌を持つ。一寸法師を飲むが目から出られ、恐れて小槌を捨てて逃げる。
一寸法師の噂を聞いて内裏に召し、その先祖を尋ねた帝。本文では「太王」と記される。
呼び名:太王翁の父。一寸法師の祖父にあたる。
媼の父。一寸法師の外祖父にあたる。
各場面をもとに制作した創作画です。原典の図版や史料の再現図ではありません。
一寸法師の誕生住吉明神に祈って授かった子は、背が一寸しかない。十二、三歳になっても大きくならず、両親は化物ではないかと嘆き、どこかへやってしまいたいと話す。第2場面
家出と上京話を聞いた一寸法師は家を出る決心をし、針を帯び、こきを舟にして住吉の浦から都へ上る。第3場面
三条の宰相の館三条の宰相の館に仕えた一寸法師は、十六歳になっても背はそのまま。宰相の姫君に思いを寄せ、わが女房にしたいと案をめぐらす。第4場面
計略と都落ち一寸法師は三つ物の米を使った計略で姫君に罪を着せ、その始末を命じられる。姫君を伴って都を出て、難波へ向かう舟に乗る。第5場面
鬼が島と打出の小槌鬼に飲まれても目から飛び出す機転で鬼を追い払い、置いていった打出の小槌で背を伸ばし、金銀と飯を打ち出す。噂は内裏に聞こえ、一寸法師は参内する。各場面をもとに制作した創作画です。原典の図版や史料の再現図ではありません。
『御伽草子 後』今泉定介・畠山健校定、吉川半七、明治24年[1891](国立国会図書館蔵 913.49-O-I)所収「一寸法師」
底本:『御伽草子 後』今泉定介・畠山健校定、吉川半七、明治24年[1891](国立国会図書館蔵 913.49-O-I)所収「一寸法師」。本文画像:所蔵機関の公開資料。
明治24年(1891)今泉定介・畠山健校定『御伽草子 後』(吉川半七、国立国会図書館蔵 913.49-O-I)所収「一寸法師」の本文を、国立国会図書館デジタルコレクションの原画像と照合した独自編集本文です。底本は渋川版の本文を明瞭な字形で伝える明治の校定本で、通行字体・現行仮名へ写し、句読点を補っています。発音の読みと独自訳を添え、補った主語などは〔 〕で示します。