狂言「柿山伏」 / 第1場面
柿の木に登る
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あらすじ・人物・読み方
斎の明けで喉が乾いた山伏が、茶屋のない道ばたで見事な柿の実を見つける。柿主に声をかけるが返事がなく、礫を打ち、小刀で落とそうとして失敗し、足掛かりを見つけて木に登る。
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山伏「貝も持たない山伏が、道々うそを吹こうよ。(山伏の名乗りは次第にのっとる。小字注に「かく山伏本同意襲る事なし」とある。)
山伏「今朝は斎(ものいみ)の最中で、喉が乾く。湯でも茶でも飲みたいところだが、辺りに茶屋もない。どうしたものだろう。あれに見事な柿がなっている。あの柿を一つ食べたら、喉の渇きも止まるだろうか。
山伏「やい、その辺に柿主はいないか。あの柿が一つ欲しいのだが。人の気配もしない。まず小石を投げて様子を見よう。(礫を打つ型がある。)
山伏「なかなか近くへも寄れない。この腰の物で打ち落としてみよう。と言って小刀を抜き、二度ほど打ちかけてみる。
山伏「どうにもならない。いや、ここに良い足掛かりがある。これを踏んで柿の木へ登ろう。えい。と言って登る。こうして柿を食べ、種を吹き出すところが見せ場である。
底本:『和泉流狂言大成 第3巻』山脇和泉著、わんや江島伊兵衛、大正8年[1919](国立国会図書館蔵 6-364)所収「柿山伏」。本文画像:所蔵機関の公開資料。
大正8年(1919)山脇和泉著『和泉流狂言大成 第3巻』(わんや江島伊兵衛、国立国会図書館蔵 6-364)所収「柿山伏」(和泉流)の本文を、国立国会図書館デジタルコレクションの原画像と照合した独自編集本文です。底本の字句を残して通行字体に写し、句読点を補っています。発音の読みと独自訳を添えています。