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狂言「柿山伏」 / 第2場面

柿主のなぶり

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柿主のなぶりをもとにした創作画
あらすじ・人物・読み方

柿畑へ出てきた柿主が、木の上で柿を盗み食いする山伏に気づく。正体は割れているのに、犬だ、猿だとわざと言い立て、山伏に鳴きまねを強いる。

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現代語で読む

柿主「この辺りの耕作人でございます。今日も柿畑へ見回りに行こうと思います。百姓という者は、年の初めから年の暮れまで忙しくないことはございません。それでも今年は日和続きもよく、雨も程よく降ったので、よく柿ができました。今年はどれほどの値が取れるだろうと思うと、こんなに嬉しいことはございません。

柿主「何かと言っているうちに畑だ。妙なことだ、大分足跡がある。と言っているうちに、シテが(柿の)種を吹きかけ、柿主の頭に当たる趣向である。

柿主「これはどうしたことだ。山伏が柿の木に登って柿を盗み食いしている。憎いことだ。おい、やい、そこのお前。山伏「南無三宝、見つけたそうだ。まずこの木の陰へ隠れよう。シテは隠れるつもりで身を縮め、右の袖で顔を隠す。柿主は笑う。

柿主「あの大きな姿で、柿の木の陰に隠れたと言っても見えないはずだ。あいつは愚かな山伏のようだ。少しからかってやろう。

柿主「はあ、柿の木の陰に隠れたのを、人かと思えば人ではない。

山伏「やれ、嬉しい。まず人ではないと言うわ。

柿主「あれは犬だ。山伏「犬だと言うわ。

柿主「犬がどうして木の上へ登ったのだろう。犬ならば人の音を聞いて、吠えそうなものだが。

山伏「吠えずばなるまい。柿主「驚かしてやろう。呼べば鳴くまねをする。シテは「びやう」と鳴く。柿主は「びよう」と言って笑う。

柿主「きこ、上手にまねをする。もう少しからかってやろう。はあ、犬かと思えば、犬ではない。

山伏「犬ではないと言う。柿主「猿だ。山伏「猿だと言うわ。

柿主「山近くに住むから、猿だ。はあ、今よく見れば猿でもないわ。

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底本:『和泉流狂言大成 第3巻』山脇和泉著、わんや江島伊兵衛、大正8年[1919](国立国会図書館蔵 6-364)所収「柿山伏」。本文画像:所蔵機関の公開資料。

大正8年(1919)山脇和泉著『和泉流狂言大成 第3巻』(わんや江島伊兵衛、国立国会図書館蔵 6-364)所収「柿山伏」(和泉流)の本文を、国立国会図書館デジタルコレクションの原画像と照合した独自編集本文です。底本の字句を残して通行字体に写し、句読点を補っています。発音の読みと独自訳を添えています。