山伏
柿の木に登って柿を盗み食いする山伏で、シテを務めます。斎の明けの喉の渇きに耐えかねて柿を盗みますが柿主に見つかり、犬・猿・鳶のまねを強いられます。落ちて腰を打ちながらも、祈祷の功を説いて看病を言い張ります。
呼び名:シテ
柿畑の見回りに出た柿主と、柿を盗み食いする山伏の狂言です。斎の明けに喉が乾いた山伏は、人のいない柿の木に登って実を食べるが、柿主に見つかります。柿主は大きな姿を見破りながら、犬だ、猿だ、鳶だと次々に言い立てて鳴きまねや飛行を強います。落ちて腰を打った山伏は看病を命じ、祈祷のまねごとで柿主を転ばせて得意がりますが、なおも言い張るため追い込まれて逃げ出します。狂言の台本。
肖像は物語をもとにした創作画です。人物の年齢・衣装は場面によって変わります。
各場面をもとに制作した創作画です。原典の図版や史料の再現図ではありません。
柿の木に登る斎の明けで喉が乾いた山伏が、茶屋のない道ばたで見事な柿の実を見つける。柿主に声をかけるが返事がなく、礫を打ち、小刀で落とそうとして失敗し、足掛かりを見つけて木に登る。第2場面
柿主のなぶり柿畑へ出てきた柿主が、木の上で柿を盗み食いする山伏に気づく。正体は割れているのに、犬だ、猿だとわざと言い立て、山伏に鳴きまねを強いる。第3場面
鳶になって飛ぶ今度は鳶だと言い立て、羽根を伸ばして啼け、飛べと迫る。鉄砲で打つと脅され、山伏は扇を広げて羽根のまねをし、拍子の止んだあと思い切って飛び降りる。第4場面
看病問答と追い込み落ちて腰を打った山伏は、鳥類・畜類に例えられた非礼を責め、看病を命じる。祈祷のまねごとに柿主が転んで見せると得意がるが、なおも看病を言い張るため追い込まれて逃げ出す。『和泉流狂言大成 第3巻』山脇和泉著、わんや江島伊兵衛、大正8年[1919](国立国会図書館蔵 6-364)所収「柿山伏」
底本:『和泉流狂言大成 第3巻』山脇和泉著、わんや江島伊兵衛、大正8年[1919](国立国会図書館蔵 6-364)所収「柿山伏」。本文画像:所蔵機関の公開資料。
大正8年(1919)山脇和泉著『和泉流狂言大成 第3巻』(わんや江島伊兵衛、国立国会図書館蔵 6-364)所収「柿山伏」(和泉流)の本文を、国立国会図書館デジタルコレクションの原画像と照合した独自編集本文です。底本の字句を残して通行字体に写し、句読点を補っています。発音の読みと独自訳を添えています。