ATAWI 古典文学JAPANESE CLASSICS, AT YOUR PACE

紫式部集 / 第8場面

大納言の君と初雪

この場面の挿絵を見る
大納言の君と初雪をもとにした創作画
あらすじ・人物・読み方

里に出ての大納言の君との文の贈答、相撲の歌、初雪の応酬を経て、小少将の君の文の記事とあき人を忍ぶ歌で集は閉じられる。

原文の一節を選ぶと、発音の読みと現代語を確認できます。読むだけでは音は出ません。どの読み方から始めても読了を記録できます。

表示設定

音声設定

原文の一節を押すと、読みと現代語訳が出ます。「次の一節」でも読み進められます。

紫式部集・第8場面0 / 22
原文の一節を選ぶか、「次の一節」で読み始めます。

原文・発音の読み・現代語

現代語で読む

里に出て、大納言の君が文を給うたついでに、浮き寝した水の上ばかりが恋しくて、鴫の上毛にさえ、ぞ獲られない。返歌。打ち払う友なき頃の寝覚めには、番(つが)いした鷺が夜半に恋しい。

また、どうであったのか、何ばかり心尽くしに崇めないと思ったのに、見ているうちに暮れてしまった、秋の月よ。

相撲を御覧になる日、内裏にて、たづさ秋、旅の空ある相撲を、雨も世に問う人も、ないだろう。返歌。挑む人が多く聞こえる百敷(宮中)の、相撲らしいとは、思い去るだろうか。雨が降って、その日は御覧と、今参った間の、あのれやや、けこといもや。

初雪の降った夕暮れに、人の恋い侘びて、あり古るほどの初雪は、消えないかと疑われる。返歌。降れば、このようにうら寂しさばかりが勝る。世を去らず、荒れた庭に積もる初雪よ。

小少将の君が書き給うた、打ち解けた文の、おかしなことのあるのを見つけて、加賀少納言のもとに、暮れない間の身を思わず、人の世の哀れを去ることと、かつは悲しい。誰が世に長らえて見ようか。書き留めた跡は消せない形見があるけれど。返歌。あき人を忍ぶことも、いつまでと思っていた。今日の哀れは、明日のわが身を(思わせる)。

この作品の最後の場面です。紫式部集の一覧から、もう一度読みたいところへ進めます。

任意の復習へ

底本:『日本歌学全書 第3編』佐々木弘綱・佐々木信綱共編並標註(博文館、明治24年[1891])。本文画像:所蔵機関の公開資料。

明治24年(1891)佐々木弘綱・佐々木信綱共編並標註『日本歌学全書 第3編』(博文館)所収「紫式部集」の本文を、国立国会図書館デジタルコレクションの原画像と照合した独自編集本文です。底本の字句を残し、標註・傍註は転写していません。発音の読みと独自訳を添えています。