ATAWI 古典文学JAPANESE CLASSICS, AT YOUR PACE

謡曲「須磨源氏」 / 第3場面

翁の語る源氏一代

あらすじ・人物・読み方

翁は桐壺の更衣の思いから説き起こし、初冠・須磨流寓・都への召還を経て太上天皇に至る光源氏の一代を語る。

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謡曲「須磨源氏」・第3場面0 / 14
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地のクリ。「忘れて過ぎた昔を語れば、秋のようにしおれてしまうだろう。私が、うつせみのような空しい世を思うにつけ、桐壺の更衣の夕べの煙のように絶えない思いの涙を添えることだ。

シテのサシ。「いよいよ虫の音も繁い浅茅生の、地「露の多い宿に明け暮らし、シテ「『小さな萩の根元のさびしさまでも』育んでくださったご恩恵。いとも畏い勅命によって、十二歳で初冠し、高麗国の人相見が告げた初めから、光源氏と名を呼ばれ、箒木の巻で中将となり、紅葉賀の巻で正三位に叙せられ、花の宴の春の夜の、行方も知らず入る月の、並々ならぬ契りのゆえに、二十五歳と申しし年に、津の国須磨の浦へ下り、海人の数に交じって身を過ごし、次の春には、播磨の明石の浦づたいへ移り、問わず語りの夢さえ、現実に語る人もなく、そうこうするうちに天下に奇特な告げがあり、再び都へ召し返され、数の外の官を経て、シテ「その後も続いて、地「澪標の巻で内大臣、少女の巻で太政大臣、藤裏葉の巻で太上天皇と、このように楽しみを極めた方を、光る君と申すのである。

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底本:謡曲二百番:四流対照 中巻 芳賀矢一訂(金港堂書籍、明治42年)。本文画像:所蔵機関の公開資料。

明治42年(1909)芳賀矢一訂『謡曲二百番:四流対照』中巻(金港堂書籍)所収「須磨源氏」(観世流)の本文を、国立国会図書館デジタルコレクションの原画像と照合した独自編集本文です。底本の主文(観世流)の字句を残し、他流の異文符は本文に含めていません。発音の読みと独自訳を添えています。