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御伽草子「浦島太郎」 / 第3場面

龍宮城と四季の眺め

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龍宮城と四季の眺めをもとにした創作画
あらすじ・人物・読み方

女房に案内されて龍宮城を巡ると、四方に四季が表され、東は春、南は夏、西は秋、北は冬の景色が広がる。

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御伽草子「浦島太郎」・第3場面0 / 11
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さて女房が申したことには、ここは、龍宮城という所です。ここには四方に四季の草木を表してあります。お入りください、お見せしましょうと言って、〔太郎を〕連れて出た。

まず東の戸を開けて見ると、春の景色と思われて、梅や桜が咲き乱れ、柳の糸も春風に、なびく霞のうちから、黄鳥の声も軒近く、どの木の梢も花であった。

南の表を見ると、夏の景色と見えて、春を隔てる垣には、卯花や、まつゝきぬらん〔底本の字句のまま〕があった。池の蓮は露を帯びて、汀の涼しいとふみに、水鳥がたくさん遊んでいた。木々の梢も茂りながら、空に鳴く蝉の声。夕立が過ぎる雲の間から、声を立ててほるほととぎすが、鳴いて夏だと知らせた。

西は秋と見えて、四方の梢も紅葉して、籬のうちに降る白菊や、霧の立ちこめる野辺の末。まきぎの露を分けて、声のものすごい鹿の音に、秋とだけ知られた。

さてまた北を眺めると、冬の景色と見えて、四方の木の梢も冬枯れて、枯葉に置く初霜や。山々はただ白妙の雪に埋もれる谷の戸に、心細くも炭窯の煙に焦がれる賤の業。冬と知らせる景色であることよ。

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底本:『御伽草子 後』今泉定介・畠山健校定、吉川半七、明治24年[1891](国立国会図書館蔵 913.49-O-I)所収「浦島太郎」。本文画像:所蔵機関の公開資料。

明治24年(1891)今泉定介・畠山健校定『御伽草子 後』(吉川半七、国立国会図書館蔵 913.49-O-I)所収「浦島太郎」の本文を、国立国会図書館デジタルコレクションの原画像と照合した独自編集本文です。底本は渋川版の本文を明瞭な字形で伝える明治の校定本で、通行字体・現行仮名へ写し、句読点を補っています。発音の読みと独自訳を添え、補った主語などは〔 〕で示します。