謡曲「夕顔」 / 第5場面
夕顔の死を語るクドキ
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あらすじ・人物・読み方
クドキで女は、夕顔の花の名の由来から、何某の院に泊まった夜、燈火の消える闇の中で夕顔がもののけに息絶えた様を語り、姿を消す。僧は夜もすがら法華を読誦して弔う。
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夕顔「物のあやめも見えない辺りの、小家がちな軒の端に、咲きかかっていた花の名も、言いようもなく美しく見えた夕顔の花を、折り過ごすまいとあだ人の心の色は、白露のように情をお寄せになった言の葉の末を、哀れと尋ねてご覧になった。聞く扇の色も格別で、互いに秋の契りを交わすこともなかった東雲の、道に迷うような言の葉も、この世はこればかり、はかなかった蜉蝣の、命を懸けたほどの間もなく、秋の日は早く暮れ果てて、宵の間を過ごす故郷(廃院)の、松の響きも恐ろしく。
夕顔の言葉。「風にまつつく燈火が、地謡「消えるかと思う心地がして、辺りを見れば、うば玉の闇に現の人もなく、どうしようかと思う間も、うたかたの人は息絶えて、帰らぬ水の泡とばかりに散り果てた夕顔の、花は再び咲くでしょうかと、夢に来て申すと言って、いたはずの女もかき消すように失せてしまった。
旅僧の言葉。「さあ、それでは夜もすがら、月見がてらに夜を明かし、法華経を読誦する声を絶やさずに。弔う法こそ真実である。
底本:謡曲二百番:四流対照 下巻 芳賀矢一訂(金港堂書籍、明治42年)。本文画像:所蔵機関の公開資料。
明治42年(1909)芳賀矢一訂『謡曲二百番:四流対照』下巻(金港堂書籍)所収「夕顔」(観世流)の本文を、国立国会図書館デジタルコレクションの原画像と照合した独自編集本文です。底本の主文(観世流)の字句を残し、他流の異文符は本文に含めていません。発音の読みと独自訳を添えています。