謡曲「源氏供養」 / 第4場面
夜の供養と霊の顕現
あらすじ・人物・読み方
法印は同行の僧と石山寺で源氏の供養を営む。夜更け、燈の影に紫の薄衣の女性の姿が現れる。
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謡曲「源氏供養」・第4場面0 / 10
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ワキ。「さて、石山に参って念願の勤めも終わり、夜も更ける頃の鐘の声に心も澄む折に。」ツレ。「先ほどの源氏の物語は、まことしからぬことではありますが、」ワキ。「供養を営んで紫式部の」ツレ。「菩提を深く」ワキ。「弔うべきである。」
歌。「二人とは思っても、はかない世の。繰り返し。夢に移る紫の、色ある花も一時のもの、はかなく消えた昔の光源氏の物語。聞くにつけても、その頼りなさよ。繰り返し。」
後シテの一声。「松風も、散れば形見となるものを。思いを寄せた山の下紅葉――」地謡「名も紫の、色に現れて。」シテの女。「見える姿は。ああ恥ずかしい。」ワキ。「こうして夜も深更になり、鳥の声も静まり、心もものすごい折、燈の影を見ると、たいそう美しい女性が、紫の薄衣のそばを取り、影のようにお見えになるのは、夢か現か、おぼつかない。」
底本:謡曲二百番:四流対照 上巻 芳賀矢一訂(金港堂書籍、明治42年)。本文画像:所蔵機関の公開資料。
明治42年(1909)芳賀矢一訂『謡曲二百番:四流対照』上巻(金港堂書籍)所収「源氏供養」(観世流)の本文を、国立国会図書館デジタルコレクションの原画像と照合した独自編集本文です。底本の主文(観世流)の字句を残し、他流の異文符は本文に含めていません。発音の読みと独自訳を添えています。